ケ ー キ 2 ページ12
Aside
·
「……なにが」
『優しいのに、損だよ』
もったいない。そーくんは本当にいい人なのに。みんなにクール印象がついてたら本当にもったいない。
「意味わかんねー」
そーくんはふいと顔を逸らし、歩くペースを速めてしまった。人の話は聞こうよ。
全くもう、と私も歩を進め、校門を出る。
「んで？そのカフェってどこなんでィ」
突き放すくせに構ってくれる優しさ。慣れ切ったそのぶきっちょさに、じんわりと胸が温まる。
『えっと、あそこ』
「あそこじゃ分かんねェよ、指示語を使わないで教えろィ」
『えー』
チラシを手渡すと、そーくんはそれを見つめて、駅の東口の方へと歩き出した。
『あ、そっちなんだ』
「知らないで行こうとしてたのかよ」
彼について行くように歩くと、すぐにカフェは見つかった。
オシャレなドアを開けて入店。
『いいにおい…』
「犬みたいだな」
やってきた店員さんに二人です、と伝え、テーブルに着く。パンケーキが私を待っている。意気揚々と呼び鈴を押し、『ラブラブビッグパンケーキください』と注文を告げた。店員さんは笑顔で注文内容を復唱し速やかに去っていく。
「…お前、恥とかないのかィ」
『恥？なんで』
「普通、店員にラブラブビッグなんてなかなか言えねえだろィ」
そうなのか。
確かに周りを見渡してみると、カップル達は恥ずかしそうにメニューを指さし、店員さんが相変わらずの笑顔で復唱する、という図が広がっていた。
『注文するだけなのに』
「マジで鈍いなお前」
心からの疑問を口にしたら、そーくんに苦笑いで突っ込まれた。私が人より感情に鈍いというのはだいぶ前から自覚しているので気にしないことにする。
***
『おいしかった』
本当に美味しかった。この世のものとは思えないくらいに。ボリュームがあるはずなのに軽いパンケーキに、甘さ控えめなクリーム、本当においしくておいしくて、甘いものが苦手なそーくんですら結構食べていた。
「意外とうまかった」
『また食べたいね』
また来ようよ、と言うと、そーくんはそうだな、と応えてくれた。やっぱり優しい。
『私ちょっとトイレ』
「…本当に恥がねえよなァ…」
失礼なそーくんの呟きを聴きながら立ち上がり、トイレに向かう。トイレは空いていたのですぐ席に向かえた。
『そーく、』
「サド、お前もこんなとこ来るアルか？」
話しかけようとして口を噤む。あわてて近くの観葉樹に隠れた。
「…おー、チャイナ」
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みるくれーぷあいす(プロフ) - 鈴神さん» 嬉しすぎるコメントありがとうございます！これからも鈴神さんにそう思っていただけるよう頑張ります！よろしくお願いします。 (2019年8月24日 13時) (
レス) id: 0de76de774 (このIDを非表示/違反報告)
鈴神(プロフ) - こんにちは！突然ごめんなさい(汗 作品読ませて頂いたんですが、一人一人の気持ちがとても丁寧に書かれていて一つ一つの話にすごく惹かれました！！ほんとに素敵なお話ばかりなのでこれからも応援してます！頑張ってください！！ (2019年8月24日 1時) (レス) id: de3968cf62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みるくれーぷあいす | 作成日時：2019年8月13日 1時
