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ケ ー キ 6 ページ16

沖田side
·

着信、しかも彼女の名前がディスプレイに表示されている。
迷った末、応答ボタンを押した。

「もしもし…」

『そーくんっ!!いまどこ!!』

やけに息が上がっていて大声で、彼女の様子に思わず耳からスマホを離す。

「え、駅のそばの、公園」

『今近くに居るから!行くね!』

ぶつり、と電話は切られた。は?
すごい勢いで走ってきている様子だった。なんだろう。彼女の突飛さには随分前から呆れているから、何も思わない。
でも、これは、意味不明すぎる。

『そーくん!』

本当に近くにいたようで、彼女はすぐに公園までやってきた。顔を赤くして息を整えてから、彼女は告げる。

『私っ、そーくんのことが好きみたいだ!』

「…は?」

突然の言葉に、理解が追いつかない。
お前が、俺を好き?

『さっきね、妙ちゃんと九ちゃんに会って。そーくんが神楽ちゃんに優しくしてもやもやしたとか、そーくんと話してるとあったかいとか、気づいたらそーくんで頭がいっぱいだとか言ったらね、それはそーくんが好きだからだって』

彼女のこんな長い言葉を聞くのは初めてで、俺は黙って耳を傾けた。

『言われて、納得して。そーくんは、私にとって、すごく特別だった。私はそーくんに、恋してるらしいの』

「…それは、同情じゃなくて?」

俺がお前をすきだと、知ってしまったから。
彼女が俺に、同情してるんじゃないか。

『違う、絶対違う、だって前からだもん。ねえ、そーくんは?』

そーくん、私のこと、どう思ってる?
相変わらずきらきらした瞳で、俺に尋ねてきた。降参だ。

「好きでィ、俺も。ずっと前から好きでした」

馬鹿みたいな台詞が出たけど、後悔はしていない。むしろ、何かが弾けたような気もした。


***

Aside
·

私の愚直ともいえる告白を、彼は受け止めてくれた。優しさ、なのか、好意なのか。

『ねえ、そーくん。両思いだったら、どうするの』

「…付き合う」

そうか、付き合うのか。

『じゃあ、付き合おう』

私は彼の手を握る。大きくうなずく。

「お前はそう簡単に…」

そーくんは唇をとがらせて、あ、と言った。

「おい、A。ちょいと目瞑れ」

言われたまま、目を閉じる。
気配が、近づいてくる。
そーくんの唇が、また私の唇に触れた。

『いきなり、ひどい』

酷くて結構。お返しでィ、と彼は言った。
無意識にお互いの目を見て、笑ってしまった。

そーくんの唇は、さっきのパンケーキの味が微かにした。


__ケ ー キ 終__

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みるくれーぷあいす(プロフ) - 鈴神さん» 嬉しすぎるコメントありがとうございます!これからも鈴神さんにそう思っていただけるよう頑張ります!よろしくお願いします。 (2019年8月24日 13時) (レス) id: 0de76de774 (このIDを非表示/違反報告)
鈴神(プロフ) - こんにちは!突然ごめんなさい(汗 作品読ませて頂いたんですが、一人一人の気持ちがとても丁寧に書かれていて一つ一つの話にすごく惹かれました!!ほんとに素敵なお話ばかりなのでこれからも応援してます!頑張ってください!! (2019年8月24日 1時) (レス) id: de3968cf62 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みるくれーぷあいす | 作成日時:2019年8月13日 1時

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