髪飾りの関係 ページ41
Aside
·
髪飾りを袋から取り出して、店の入口で待っていてくれた沖田さんのところに向かう。
『お待たせしました！』
ヘアゴムタイプの赤いリボンの髪飾り。
ハーフアップの結び目につけてみようか、なんて考えながら髪の毛に手をやる。すぐつけられると思ったのに、鏡がないからかなかなかできない。でもこれ以上沖田さんを待たせるのもあれだし…
焦れば焦るほど全然上手くいかない。あれ、私ってこんなに不器用だったっけ？
「ははっ、やりやしょうか？」
慌ててた様子が伝わったのか、沖田さんは私の手からすっと髪飾りをとって、私の髪を掬う。
…いきなり、びっくりするじゃないか。
私が目をぱちぱちさせているうちに手早く沖田さんは髪飾りを髪の毛に結びつけてくれた。
『あ、り、がとうございます、速いですね』
かなり手早くやってくれて助かった。突飛だなあ、って、抱きついてきた時も思ったから意外と突拍子もないことをする人なのかもしれない。
「…いえ」
沖田さんはびっくりしたような顔をした後、顔を背けた。何に驚く要素があったんだろう、と思って沖田さんの顔を見ようとすると、沖田さんは私の手をとって歩き出すした。
『えっと、』
「ラッキーなことに、今あそこに土方がいやした。気付かないふりして近づきやしょう」
あ、そういうことだったのか、と納得する。
そうだよな、いきなり人の髪の毛いじるって、理由があるに決まっているだろう。きっと副長さんの見ている前で仲睦まじい様子を見せたかったんだ。
そうだったんだ、そっか。残念だなあ。
…え、残念？
『んーと、あ、いた！あそこのスナックの前、ですよね。…あれ、坂田さん？』
スナックお登勢、の上に掲げられた《万事屋銀ちゃん》の看板。そこから降りてきた銀髪天然パーマ。間違いなく坂田さんだ。万事屋ってここにあったのか！
「へえ、旦那と知り合いだったんですかィ」
『はい、前に激突されて』
「…激突？」
坂田さんは私たちや副長さん達に気づかない様子でどこかへ歩いていった。やけに眠そうだ。でも私が見た事ある坂田さんは眠そうな顔しかしてないので通常運転なんだろう。
『あ、今度は何します？またハグ？』
本来の任務を思い出して、沖田さんに向き直った。沖田さんは少し考えてから呟いた。
「壁あるし、これでいーや」
どん。
近い近い距離。微妙に触れない感じ。
壁ドン。顔が熱くなるのは仕方ない。
『見てます、副長さんちゃんとこっちをlookしてます！』
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作者名：みるくれーぷあいす | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ykoma1218/
作成日時：2019年7月2日 21時
