ストーカーの関係 ページ37
Aside
·
「さ、こいつが気絶してるうちに早く着替えちゃったほうがいいわ、メイク落としも貸してあげる。当日までのナイショよ」
先程の荒れっぷりからくるりと一転、笑顔で私にメイク落としのシートを差し出してくるお妙さん。片手にまだなぎなた持ってるのが怖い。
『あ、あのう、近藤さんは…』
「大丈夫、メイクの時に侵入してきたから着替えは見られてないわ」
いや、そういう問題じゃなくて。
一応目隠ししておいた方がいいわねなんて言いながら大きめの雑巾を近藤さんの目元にまきつけるお妙さん。恐ろしい。なんだったのさっきの怪獣っぷりは。
『よ、よく家にいらっしゃるんですか?』
「ストーカーで不法侵入。警察のくせによくやるわね」
もしかして、近藤さんの好きな人って、お妙さん?
前、沖田さんと結婚したいって言いに行った時に相談してきたよね?私それに頑張ってなんて言っちゃった気がする。つまり事の一端の責任は私にもあるんじゃないか、と思ったけどお妙さんの近藤さんへの目付きを見てすぐにそんな考えを封じ込める。バレたら私も殺されかねない。
ぱぱっと着替えと片付けを終え、いくつかのコスメを借りる。本当にお妙さんの女子力には感服だ。
『本当にありがとうございました』
「いえ、またお洒落する機会があったら教えてね」
気づけばもう夕方になっていた。結構長居しちゃったんだな、と驚く。
「あら、そうだ。…起きろこの哺乳類最底辺ストーカー!」
近藤さんの顔面を踏みつけるお妙さん。落ち着いて、と言いたいけど言えない。怖い。
「ふぎゃ!?お、お妙さん!」
「この役立たずゴリラでもAちゃんを送り届けることくらいはできるでしょ」
『え、あ、ははは、すみません』
謝ることしか出来ないですよ。
いつまでもうちにへばりつくな!と近藤さんを縁側から追い出し、私を玄関まで見送ってくれたお妙さん。相変わらず笑顔。なんて怖い。
「いやー、まだアタックにのらりくらりだね」
『…のらりくらりのレベルじゃないと思いますけど』
お言葉に甘えて近藤さんに家まで送ってもらうことにした。もうストーカーを撃退してるだけだよ近藤さん。
「はははっ、いつかゴールインするぞぉ」
そんな未来は果たして来るのだろうか、と結構本気で考えてしまった。
「そういえば、総悟はどう?うまくやってるか?」
『あ、はい』
多分近藤さんが思ううまくじゃないけど、今のところ契約は順調だ。今度の作戦が上手く行けば。
93人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みるくれーぷあいす | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ykoma1218/
作成日時:2019年7月2日 21時