見事な関係 ページ36
Aside
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「ほら、すごくいいわ!」
お妙さんが鏡に映った私を見て声を上げる。
ヘアアイロンを駆使してつくったゆるいハーフアップ、ちょっとラメの入ったメイク、揺れるイヤリングにアースカラーのマニキュア。と、ここまでだけでもほとんどカタカナ文字というすごさだ。ちなみにコスメはほとんどお妙さんにお借りした。
『…は、派手じゃないですかね』
「ぜんぜん平気よ!むしろナチュラルな感じ。あ、今日貸したコスメ、デートの日も使ってほしいし持って帰っていいわよ」
やけにイキイキしているお妙さん。『いや私と沖田さんの場合デートじゃなくて作戦です』と言いたいけど、もちろん言えない。
『ありがとうございます…』
「ふふふ、近所を回るのよね?その格好でデートしてるAちゃん見るの楽しみだわ」
これは、「恥ずかしがって別の服着てったら許さねえぞコラ」みたいな脅迫なのだろうか。
『あ、あはは…』
こんなおしゃれな格好で、沖田さんになんて顔で会えばいいんだろう。
「でも、真選組の隊士と堂々とデートして大丈夫?狙われたりしない?」
『ああ、大丈夫ですよ』
真選組には奥さんのいる隊士さんもいるらしい。《人質にとってなんやかんや》とされるんじゃないか、なんてことはちょっと私も思ったけれど、人質の受け渡し場所だったりなんなりでその攘夷志士グループの拠点がわかってしまうらしく、人質云々の前にアジトを真選組に潰されてしまった、ということも多いという。
その結果、家族を人質に…なんてことはほとんどなくなったそうだ。
それをお妙さんに説明すると、
「そうなのね、よかったわデートを邪魔する輩がいなくて、ふふ」
と笑顔。お妙さん、輩って…
『まあ、一応夜道を一人で歩くのは避けてますけど。…あ、そろそろ着替えますね』
ワンピースに手をかける。
「やめた方がいいわ」
お妙さんはすっと立ち上がり近くの押し入れの襖を開ける。
ん?
「そこにいんのは分かってんだよゴリラてめえ人んちでなにやっとんじゃボケぇぇぇぇ!」
ご、ゴリラっていうか、近藤さん!?
いつからそこに…
「お妙さん!俺のラブビームに気づいてくれt」
「失せろこのクソストーカァァァァァ!」
お妙さんはどこからか取り出したなぎなたの柄で近藤さんのみぞおちをぐさっ。
「あぎゃおおおお」
いつかの顎が外れた時みたいな声を出して白目を剥いた近藤さん。お妙さんがズルズルと引きずって畳の上に放り投げる。お、お見事…
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作者名:みるくれーぷあいす | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ykoma1218/
作成日時:2019年7月2日 21時