お洒落な関係 ページ35
Aside
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「それはステキね!あえて近場っていうのがいいわ。ところでAちゃん、当日はどんな服を着ていくの?」
『…はい?』
服?だって行くのはしあさってだ。決めるのは前日でいいんじゃないの?
『いえ、決めてませんけど』
「なんですって!ダメよ決めないと!結婚してから初デートでしょ!?」
『は、はい、初デートです』
お妙さんは猛烈な勢いで立ち上がって目を見開く。えええ、また不吉な予感。
「その日のヘアスタイルは?それからメイクもちょっと特別感のあるものの方がいいわね。相手も相手だし…」
何やらぶつぶつと唱えながらリビングを歩き回るお妙さん。その顔は私以上に真剣だ。
『えーっと、お妙…さん?』
「決めた!Aちゃん、今すぐ私と買い物に行きましょ」
買い物?一体何を買いに?
お妙さんはさっと荷物を持つ。
「さ、Aちゃん、準備して。デートのお洋服や髪型やメイク…決めなきゃ行けないことは沢山あるのよ」
『え、でも、あの』
「行くわよ?」
笑ってない、目が笑ってない。
抵抗しようものなら殺される、今ならお妙さんも副長さんと同じ部類に入るんじゃないかって思える。
『…はい…』
***
『ワンピース、ですか』
「そう。せっかくだからちょっと大人っぽく仕上げたいでしょう?上品なワンピースは仕上がりがいいのよ」
お妙さんはお店に並んでいるワンピースを吟味する。そのうち、白地に淡い小花柄のついているものをとりだした。
「うん、柄の主張も激しくないし、オフショルダーだけど肩紐の部分もあるし、上品ね。これでいいんじゃないかしら?」
さらりとした生地で、上下の境目にレースがあるミモレ丈のワンピース。普段は絶対着ない。
『じゃ、じゃあこれ買ってきますね』
セール品だったワンピースはリーズナブルだったけど、あまりにも可愛すぎるその服にちょっとドキドキしながらレジに向かう。店員さんは笑顔で袋に詰めてくれた。
「次は靴ね、サンダルがいいわ。ワンピースが甘いから、ちょっと足元で締めたいし…」
お妙さんはさっさと次のお店へ歩き出す。すごい。女子力の塊だ。私とて別段女子力が無いわけではないと思っていたけど、段違いすぎる。
衝撃を受けたままお妙さん主導で買い物を進めていく。厚底の黒いスポーツサンダル、中に巾着の入ったクリアバック、アクセサリーや髪飾りを購入した後はお妙さん家に向かう。髪型やメイクを考えてくれるそうで。もうお妙さんの方が楽しそうだ。
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作者名:みるくれーぷあいす | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ykoma1218/
作成日時:2019年7月2日 21時