夫婦の関係 ページ22
Aside
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沖田さんは、昨日の私をからかっているのだ。
笑いを堪えながら見送る。
沖田さんが鍵を閉めたのを確認すると、私はリビングに戻った。
テレビを消して、掃除機を取り出す。
『よし』
掃除は元々結構好きだ。この綺麗な部屋を保って置く為にも念入りにやらなければ。
せっせとハタキをかけ、フローリングはクイックルワイ〇ーで拭く。そして掃除機。
…なんか、本物の主婦、というか奥さんみたい。
いや、本物の奥さんなんだよね。結婚はしてるんだし。実際は契約だけど。
『むーねにのこりーはなーれなーい にがいめろーんのにーおーい』
ちょっと上機嫌になって歌も歌っちゃいながら掃除機をかける。ちなみに、曲は最近大ヒットした『MELON』である。
『いまでーもーあなたはーわたーしのーめろーんー』
掃除を終えたあとは買い物だ。明日から沖田さんのお弁当《アイサイベントウ》を作らなければならない。
近くのスーパーに行って食料の調達をする。
『あ、半額』
半額のシールが貼ってある冷凍わかめを見つけ、すぐカゴに入れた。ラッキーだ。
次は…そうだ、牛乳のストック買わなきゃ。
飲み物売り場に向かおうと、方向転換する。
「うぎゃああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
いつかの近藤さんのような悲鳴をあげながら、猛スピードで迫ってくるなにか。
え、何だこれ!
『ひでぶっ!』
避けられるはずもなく、自分でも信じがたいような声を上げて激突してしまった私となにか。
カゴを放り投げ、床に仰向けに転がる。
いっ、痛いんですけど…
「ちょっとぶつかってますって!神楽ちゃんもやりすぎ!」
「すまんアル。あのクソ天パと1秒も早く離れたかったネ」
誰?と私は顔を上げる。男の子と女の子が私となにかのところに近づいてきていた。
ん、クソ天パ?と思いながら隣に目をやる。
なにかの正体は…銀髪天パの男の人だった。
『えっとー、大丈夫ですか?』
「だいじょうぶだ世界は俺が守る…」
あ、だめなやつだ。この人、頭を打ったのかもしれない。
「すみません、怪我はありませんか?」
近づいてきた、メガネをかけてる男の子が私を心配そうに覗き込む。
『あ、大丈夫ですよ』
「新八、新手のナンパアルか?きもーい」
チャイナ服で赤い髪、なかなか奇抜な格好をした女の子も私の前に立つ。
「ごめんなさいアル、当てる気はなかったネ。お詫びに何か買うヨ、コイツが」
そういって女の子は私の隣でまだ倒れている天パさんを指さした。
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作者名:みるくれーぷあいす | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ykoma1218/
作成日時:2019年7月2日 21時