おはようの関係 ページ20
Aside
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目覚まし時計の音が鳴った。
私はこやつの音が世界でいちばん嫌いなのだよ。すぐさま止めるべく飛び起きてボタンを押す。
あれ?今日って仕事だっけ?
静かになった目覚まし時計が時を刻むのを見ながら考えて、違う違う、と思い直した。
仕事は結構前にやめた。
私が久しぶりに目覚まし時計を使ったのは、そうだそうだ、【主婦】するためだ。
ベッドから降りてカーテンと窓を開ける。
3つあるうちの部屋のひとつ、リビングの隣の日当たりが良い部屋が私の部屋だ。
欠伸をしながら廊下をあるく。ぺたぺたという音が響いた。
トイレに行って手を洗って歯磨きをして顔を洗って、そういった日常生活を昨日とは違うところで行っていることにちょっと驚きながら、着替えてパジャマを洗濯機に投げ入れ、リビングの窓もカーテンも開けて自分の布団を干した。
テーブルだったりカーテンだったり、そういう家具や生活用品は買い揃えてある。昨日食料も買いに行った。うんうん、この部屋はもう私と沖田さんの物になってるな。
エプロンをして冷蔵庫を開ける。朝ごはんが作れそうなものは揃ってる。そうか、二人分作るんだもんね。
キッチンの上を様々なもので散らかしながら朝ごはんを作っていく。
と、そこで、ひたひたと足音がした。
『…あ、沖田さん?』
「あぁ…おはようございまさァ」
くあ、と欠伸をする沖田さんの髪の毛はくるくるで、首からは派手めなアイマスクがぶら下がっていて、全身から眠気がしみでている。
『おはようございます』
パジャマ姿の彼がのろのろ身支度を整えていく隣で、オーブントースターから焼けたパンを取り出す。
おお結構上手くできた感じがするぞ。
テーブルをふきんで拭いてテレビをつけてみる。お皿に持った朝ごはん(会心の出来)を並べる。すてきすてき。
「あ、うまそう」
『ほんとですか!?会心の出来なんですよ!』
とろけるチーズをのせたパンに目玉焼きをオン。となりにはプチトマトをのせた簡単なサラダ。ミニサイズのコンソメスープ。それらがのったワンプレートと、蜂蜜を垂らしたヨーグルト。ちょっと私シェフになれるんじゃないかな?というくらいの自慢の出来だ。
沖田さんは布団を干しにベランダに向かいながら、腹減った、と呟く。真選組の隊服に着替えた彼からは眠気が完全に消えていて、整った髪型とすっきりした表情からはきらきらした何かがあるように見える。
『飲み物、コーヒーでいいですか?』
「ブラックで頼みまさァ」
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作者名:みるくれーぷあいす | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ykoma1218/
作成日時:2019年7月2日 21時