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ごまかしの関係 ページ18

Aside
·

え、と声が漏れた。
あれ?敬語?苗字にさん付け?

「ていうか、Aさんも沖田じゃーん」

隊士の誰かが言って、ちょっとした笑いが起きる。

いや、笑えない。
ついつい癖でこんな喋り方をしてしまった。
反射的に沖田さんと顔を見合わせると、沖田さんも《やべえ》という顔をしている…気がする。

『いや、アノー、デアッタトキカラノクセデ』

「そ、そうでィ。フダンハモウチョットシタシゲデ…」

慌ててカタコトになりながらごまかす。
そうそう、普段はもうちょっと親しげ…ということにしておこう。

「え?そうなの?」

近藤さんはなあんだ、と言って笑う。
隊士さんたちも「まあデレデレだしなー」とか言いながら納得した様子だ。
デレデレ、という事に関しては本当に申し訳なく思っている。沖田さんがデレデレとかありえない、というのが隊士さん達での理解だったらしく…

『あ、あはは』

ふと視線を動かすと、副長さんが厳しい目付きでこっちを見ていた。まずい。
どうにか副長さんを納得させなくてはと考えていると、「そろそろお暇するよ」と近藤さんが言った。

「じゃっ、ラブラブ生活楽しんでくれよー」

「…ははー、どーもー」

沖田さんは純度ゼロパーセントの声で返事をした。ほんと、笑えない…
お邪魔しましたー、と言いながら隊士さん全員が部屋から出ていった。
しんとした空気が私たちをつつむ。

『…どうしましょう、めちゃめちゃ怪しまれてますよね、副長さんに』

「やっぱり?ばれたかなァ…どうしよう」

もう少し仲良さげにすればいいんだろうか。でも、もともと初めましてのようなものだから、いきなり『ねえだーりん』のようなことは言えない。というかあんまり言いたくない。

『ま、まずは私が、沖田さんのことを名前で呼べばいいんですよね』

「そ、そうですねィ」

『ええっとお…』

沖田さんの下の名前は、総悟。
それくらい知ってるし、近藤さんの前では言えた。
…でも、本人の前で言うのってなかなかレベル高くない?

『そ、そう…』

「は、はい…」

お互いの視線がバッチリと絡み合って、思わず目をそらす。
思わず、一歩うしろに下がる。

『………………………………そうごさん』

あーーーー!むり!ちょっときつい!

「…………無理しなくても、いいですぜ?」

『す、すみません。でも!きっとそのうち慣れます!ソーゴサン!』

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作者名:みるくれーぷあいす | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ykoma1218/  
作成日時:2019年7月2日 21時

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