裏表の関係 ページ16
Aside
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『ど、どう、とは…?』
一気に静まりかえる室内。隊士さんたちは、いっせいに私の方を見てくる。
「そりゃもちろん、彼女の前でどんなデレデレな姿を見せてるかですよ!」
あんぱん隊士さんは異常な程身を乗り出し、どうなんですか!?と尋ねてくる。後ろですごい勢いでうなずく大勢の隊士さん。
ええ…?デレデレ?そういうことにしておいた方がいいのかなあ。
「お前ら、一回話を聞___」
『すっごーく、デレデレですよ』
口を開きかけていた沖田さんが、は?という顔を向けてくる。反対に、隊士さんたちは目を輝かせてうぉぉぉっ!と盛り上がっている。
なんか、間違えた…?デレデレはやりすぎだったかもしれない。
「あの沖田隊長も彼女にはデレデレっ!」
「やばいやばいやばいって!」
「考えてみれば重度のシスコンだったしな」
「待って超気になるんすけど!」
沖田さんは唐突に無表情になると、どこからかバズーカを取り出した。
ん?バズーカ?
どぉぉぉぉぉぉぉぉぉんっ!
「おいザキ!後でシメてやるから来やがれェっ!」
壁に穴が空いて、そこから隊士さんたちは全員ぶっ飛ばされて行った。ホントなんなんだこれは…
『なんか、皆さん仲良いですね』
「だろ?真選組のいいところだよ」
もう一発お見舞いしてやらァ!と息巻く沖田さんを副長さんが慌てて押さえつけ、うるせー土方くたばれーと沖田さんが副長さんの顔面にバズーカでパンチして総悟てめーふざけんな!と逃げる沖田さんを副長さんが追いかけ、さらにその後をアフロになった隊士さんたちが追いかけるというなんとも言えない風景を見ながら、私と近藤さんはしみじみと呟いた。
***
「Aさん、この段ボールどこに置けばいいですかねィ?」
『あ、それは冬物の服だから、あそこの棚の前に置いてください!』
「オッケーでさァ」
部屋一面にブルーシートがひかれ、引越し屋さんが大きな家具を搬入している中、私と沖田さんは荷物の詰まった段ボールの仕分け・整理を行っていた。
真選組に押しかけておよそ一か月、思ってたより隊士さんたちの興奮がすさまじく、なんとかそれを抑えて婚姻届を出したのが二週間前。
あらかじめ沖田さんが決めておいてくれた新居に引越ししたのが今日。
沖田さんは平日は今まで通り屯所で生活し、休日はこっちに…という予定だったけど、いやにテンションの高い隊士さんたちの熱烈なススメで同居することとなった。
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作者名:みるくれーぷあいす | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ykoma1218/
作成日時:2019年7月2日 21時