気づかないだけ【ハリポタ】 (ページ3)

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第一話：サヨナラ、マグル界ページ3

わたしは、わたしが嫌い。人が嫌い。でも、そんなわたしでも夢があった。大人になるまでに、２０歳までに、私を認めてくれる人を見つけたい。大人になったら、もう孤児院にはいられない。だから追い出された後、私を必要として傍においてくれる人が欲しい。ただの自己満足かもしれない。でも、今まで家族も友達も何もなかったわたしが、願っちゃいけないわけはないと思う。必要とされて、それで、「生きる意味」が欲しかった。「生きてていいよ」って言って欲しかった。まだ、この世界に期待してた。少しでもいいことがあるって。

でも、そんな夢はあっけなく散った。今日は２０歳の誕生日。誰とも一緒にならず、一人ぼっちで、孤児院の近くの海辺の砂浜に座ってた。結局ダメだった。やっぱり期待しすぎたよね。そうだよね。そう簡単に見つかるわけがないよね。所詮「マグル界」だし。しばらくして、砂にバースデーケーキを描いてみて、静かに自分に歌ってみる。

貴)Happy birthday to you. Happy birthday to you. Happy birthday dear・・・

ああ、だめだ。むなしくなるばっかり。誕生日だからって、何にもめでたくなんかない。それに、もうそろそろ「終わり」になる。

そういえばハリーもこんな誕生日あったよね。あの小屋にいたらハグリッドが来て。私にもそんなお迎えが来たらな、なんて思うけど。あーあ。でも、そんな考えや妄想も、苦しいのも、今日で全部「終わり」にする。

少し砂浜から離れたところに、見晴らしのいい崖がある。上はちょっとした草原。下は真っ青な、荒れ狂う海。大好きだったこの場所から飛び立つことを決めた。怖くなんかない。どうせもうこの世界に用はない。綺麗な地平線を見ながら、そっと地面を蹴る。下へ下へと落ちていく。涼しい風が、勢いよく耳元をきる。

そんな状態でふと思った。まだ誕生日のお願いをしてない。もし叶うならハリーポッターの世界、「魔法界」に連れてって。いや、願いは叶うわけないってさっき思ったよね。もういいや。考えるのは、もうやめよう。

サヨナラ、「マグル界」。