星屑は雨に舞う

＊星屑ひとつ ページ1

「てやっ……！」


鞘から出した伸縮する剣＿＿蛇腹剣がバケモノと化した生き物を引き裂いていく。
ピンポイントで目元を狙うと、振り翳した剣が撓ってバケモノが霧散する。
もう数え切れないほど見た気がするがやはり気分の良い物ではなく虚しさに襲われ、気に迷いが生じる。

こんな姿でも元は自分達と同じ人間であり、家族がいて、幸せに暮らしていて……


「…………」

いつの間にか自分の目から零れ落ちた透明な雫(涙)が頬を伝って地面に落ちる。
地面に落ちた涙が沁みを作って嗚咽を漏らす。


弱かった自分を守った両親＿＿＿


故郷の惨状＿＿＿


可笑しくなりそうな程の血だまりを作ったあのバケモノ。それを倒した(殺した)僕。

egoism(エゴイズム)で言えば、確かに「仕方なかった。」
僕には家族がいてそこにはたくさん動物もいたし……たくさんの人を殺したバケモノが憎かった。
でもバケモノにも同じ感情があったら？バケモノにもまだ自我があったら＿＿＿

考えれば考えるほどに深い深い沼に落ちて、沈んでいく感覚がして心が締め付けられる。
自分は誰も殺さないとエゴで宣言したあの日常を取り戻したくて、苦しくなって自分を詛いたくなって拳を強く握った。


急に空から降った雨が妙に甚くて痛くて堪らなかった。

＊星屑ふたつ→

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