輝く個性の物語【スト＊短編集】 (ページ11)

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彼との時間 ep2 black 視覚障害ページ11

毎朝決まって彼より少しだけ早めに目を覚ます。

そして、寝返りも打たずにそっと隣で眠っている彼の顔を眺める。

毎日みてるのに全然飽きない。

そんな時間が本当に幸せ。

……少し経つと彼は目を覚ます。

これも、いつものこと。

『ん？……A？おはよ。』

“Aが寝てるか起きてるかなんて、見えてなくても、息づかいや雰囲気でわかるよ。”

っていう彼。

寝起きの彼はいつもより少し舌足らずで、定まらない視線がふわふわしていてかわいい。

「おはよう。今日もいい天気だよ。暑くなりそう。」

彼に今日の天気を伝える。これも、いつもの。

『うーん……。もうちょっと寝よっか？』

彼はそういうと、手探りで私の体に手を回し、抱き枕のようにぎゅっと抱きしめる。

「だーめ。もう7時だよ。」

なんて言いながも、彼の腕から逃れる気にはなれなくて、結局しばらくベットから起きられない。……そんな毎日。

今でこそ穏やかな彼。

でも光を失った頃の彼は、今のこんな穏やかな日常なんて想像もできないくらい荒れていて、自分の殻にすっかり閉じ籠っていた。