capriccioso.

鬼才とデート ページ7

「最後は俺か」
『そーです、めっちゃ考えたの』
「プランは？」
『大希のインスピレーション刺激デート！』

インスピレーション刺激…？
何するんやろ。
とりあえず指定は池袋。
バギーパンツにくすんだオレンジのタートル、ライダースを着て髪は緩巻き。
なんか、ガチデートっぺー。

ふらふらと歩いて連れて行かれたのは、池袋と言えばの場所。
向かう先の案内は、水族館。
袖を引かれて向かえば、薄暗く、青い光の中。

「…久々来たわ、こんなん」
『でしょうね。こういう空間でも、大希の作り出す何かに影響するかなって』

泳ぐ魚に駆け寄る姿は、歳上か疑わしいほどに幼くて、呼ばれれば勝手に笑みが溢れる。
指差す魚を目で追いつつ、案外混み合う中はぐれないよう手を繋いでみた。

『わー、なんか、慣れてるね』
「そりゃ、モテるし？」
『うざー』

なんて言いながらも笑ってるA。
色んなコーナーを抜けて連れて行かれたのは、海月の大水槽。

『これを見せたかったの』
「すげ…」

ふわふわと水中を漂う海月がすげー綺麗で、思わず足を止めた。
あたかも自分が水中に居る気分になる。
水槽に近付いてじっと見つめるAが、とても儚く映る。
思わずスマホを構えて写真を撮った。

「…すげぇいい写真になったんやけど」
『…ほんとだ、なんか、恥ずかしいけど』

2人で、海月の中をゆったりと歩く。
曲や映像の構成を考えるのにいい場所かも、なんて思えた。

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