capriccioso.

せきゆーとデート ページ4

「俺とは何するの？」
『遊とはね、奥さんへのサプライズデート！』
「サプライズデート？」

うーん、サプライズデートって何だろ。
とりあえず、Aに言われるままに着いていく。
なんか、広いキッチン？なんだここ。

『ここで、奥さんに手料理を作りまーす』
「え、マジで？出来るかな」
『遊は器用だからできるよ、手伝うし！』

メニューは…甘くないケーキ？何？サンドイッチ？

『まずはこれを柔らかくなるまで混ぜます』
「これ何？」
『クリームチーズだよ』
「へー」

少しずつ牛乳を混ぜて練っていく。
トロトロしてきた。

『それを冷やしつつ、スポンジにあたるサンドイッチ部分を作りまーす』
「はーい」

材料はAが切ってくれてて、パンの間に挟んでいく。
それを形を整えて、クリームチーズでコーティング。
余ったチーズを搾り機で生クリームみたいに飾りつけた。
なんかケーキっぽい、すげぇ。

『最後に、このサーモンで薔薇っぽく飾って完成でーす』
「へー、簡単！」
『でしょー？』

出来上がったのは、ちょっとお洒落なケーキ風サンドイッチ。
出来たものを置いて、Aを見る。

『着替えがあるので、着替えてきて下さい』
「え、まだやるの？」
『サプライズはここからだよ』

何考えてるんだろ…
とりあえず渡された衣装を着る。
これはまるで、

「新郎さんじゃん」
『そう！私が作った花束もあります。さ、次の現場行くよ！』
「まだあるの？」
『うん、サプライズ完結編！』

車に乗せられて移動する。
ここは、奥さんの事務所だ。
え、やっぱ、そんな感じ？

『さ、行こ！』
「え、う、うん」

俺の前をズンズン歩いていくAを追いかける。
えー、ドキドキする。

会議室の扉を開ければ俺の奥さん。
格好を見て、驚いてる。
すかさず花束を渡されて背中を押される。

「…結婚1周年、おめでとう。あと、いつもありがとう」

びっくりしてる奥さんに花束を渡して、Aに渡されたあのサンドイッチを見せる。

「手伝って貰ったけど、喜んで欲しくて、頑張って作ったよ！一緒に食べよう？」

びっくりしすぎて泣いちゃった。
Aは成功して満足そう。

「…A、ありがとう」
『どーいたしまして。遊とのサプライズは大成功だね？』

泣き笑いしてる奥さんとAがハグしてる。
なんか、今日こんな企画してくれて良かったなって本当に思えた。

俺たちだけじゃなく、俺の奥さんのことまで考えてくれて、本当に嬉しい。
ありがとう、A。

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