私と彼の不思議な日々。2nd

私の二十七話 ページ5

わー、ヤバい。
お試しだけど、彼女になってしまった。
ソワソワしてしまって、簡単にメイクをして部屋着からお出掛け用に着替える。
髪も纏めて…どうしよう、大丈夫かな。
とりあえずお待たせしすぎるのも申し訳ないので、素直に隣の玄関を開けて部屋に入る。
私を見て、手招かれる。真横に座れ、と。
隣に腰掛けるけど、すっごい緊張する。

「…ガチガチ」
『だって、緊張する…』
「ふは、俺も緊張する」
『…そんな顔してないです』
「そう？」

余裕そうな顔で笑う彼。
私だけ余裕なくて恥ずかしい…
常田さんが少し動いたと思うと、背中に暖かさ。
だ、抱きしめられてる…

『常田さん、ちょ、』
「変なことはしてない」
『違くて、あの、』
「…良い匂いすんな」

心臓がバクバクしてる。
纏めた髪を触られてる。
ふわりと香るタバコと柔軟剤の匂いに嫌な気はしなくて、断ることもせずただじっとしておこう…
暫くその体制のまま時間が過ぎる。
何も話さなくていい空気、ではないかも知れないけど、話題もなくて、お互いだんまり。
常田さんは隅々まで私を観察してるみたい。
爪、指先、毛先、うなじ、視線が凄い。
でも、嫌な気はしないから、やっぱり、放っておこう。

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