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ああ、今日は家に誰もいないんだった。
そう気づいたのは帰りの準備をしている時だった。
リュックサックの中から家の鍵を取り出し、机の上に置いた。
と、その時。
｢きゃあっ｣
甲高い悲鳴が聞こえたと思いきや、ガタンと私の机が音を鳴らしてずれた。
それと同時に、涼し気な鈴の音。
浜田さんが机にぶつかってきたのだ。そう理解するのに時間はかからなかった。
浜田さんは｢ごめんねっ｣と可愛く謝ってきたが、落ちた鍵を拾おうとしない所から、特に気にも留めていないことが伺えた。
｢あ、うん｣
返す声が裏返る。何を返せばいいのかと言葉がぐるぐる脳内をめぐる。
｢大丈夫｣と言った私の掠れた声と、浜田さんの甲高い声が重なった。彼女の手により、我が声はあっさりとかき消される。
｢ちょっと男子、暴れないでよ。危ないでしょっ｣
｢わりぃ｣と男子は笑って、そうしたら浜田さんも笑って。
｢もう｣なんていいながら、席に着く浜田さんを見て、ああ、やっぱりこの人とは世界が違うんだなと思う。
同い年、同じクラス。
何がどう違って、こうなったのだろう。
いつから、こうなってしまったのだろう。
落とされた鍵を拾いながら、考える。
私が、堂々と生きていけたなら。
こんな事を考えなくても、済んだのかもしれない。
＊＊＊＊
家に帰ってテレビを見ながらソファに寝転がっていると、鍵の開く音がした。
まあ大体誰かは分かっていながらも身を起こし、誰が帰ってきたのかを確かめる。
｢ただいま｣
ピアノ教室から帰ってきたのだろう。リビングへと入って来た輝流を見て｢おかえり｣と返す。
高学年になってから、学校からそのまま習い事に行くことも少なくないみたいだ。
輝流はランドセルを下ろし険しい表情で連絡帳を見つめている。
｢明日から運動会練習か……｣
輝流は運動が大の苦手なのだ。他の教科は出来るというのに、体育だけは絶望的に出来ない。
幼稚園から低学年の頃はあまり外で遊びたがらない弟を仲間はずれにする子もいた。
まあ今は周りにインドア派もいるみたいだし、クラスメイトとも上手くやっているみたいだけれど。
しかしこの弟の運動会というのは姉としても心配だ。
短距離走は上手く走れるのだろうか……？
ダイニングルームで宿題している弟をちらっと見て気づく。
｢あ、国語のプリント明日提出だった｣
私には練習しないといけない漢字がまだどっさりと残っている。悲しい現実に渋々机へ向かうはめになった。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
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かぐや(プロフ) - 水の犬。さん» 水の犬。様有難うございます！共感していただけて嬉しいです。お気づかいの言葉まで有難うございます…！面白いと思っていただける作品作りを心がけますので、今後ともどうかよろしくお願いします！ (2019年2月19日 20時) (
レス) id: f6494d153c (このIDを非表示/違反報告)
水の犬。(プロフ) - 初めまして！コメント失礼します。お話すごく面白かったです！主人公の気持ちで共感できる部分がたくさんあり、お話の世界に入り込んでしまいました(*∵*)更新、無理しない程度に頑張ってください！ (2019年2月19日 18時) (レス) id: 1e3c02421b (このIDを非表示/違反報告)
かぐや(プロフ) - ありしあさん» お褒めの言葉有難うございます…！そんな風に言っていただけて本当に嬉しいです…！よい文章、物語を作り上げられるようこれからも頑張ります、どうかよろしくお願いします！ (2018年3月24日 12時) (レス) id: f6494d153c (このIDを非表示/違反報告)
ありしあ(プロフ) - すごい…文章がよくまとまっていて、とても読みやすいですね！謎めいた事件から始まるストーリーも、先の展開が気になってしょうがなくなります！ 次の更新も楽しみにしてますね！ (2018年3月23日 21時) (レス) id: 8ee049553d (このIDを非表示/違反報告)
かぐや(プロフ) - すわさん。さん» そうなんですね、教えてくださり有難うございます…！そう言っていただけてとても嬉しいです！ (2018年3月11日 19時) (レス) id: f6494d153c (このIDを非表示/違反報告)
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