〈ツイステ〉 ねじれた世界の御伽噺 第十一幕

第四章 177＿渡せなかったシュトレン ページ28

疑問をそっちのけで、ではなと言い、帰ろうとするリリア先輩。


…ディアソムニア寮……あ、そうだ。
確か、ツノ太郎さんもディアソムニア寮の人だ。



『あ、あの！』
リリア「ん？何じゃ？」
『ディアソムニア寮の人で、知り合いでしたら渡して欲しい物があるんですけど…』
リリア「我がディアソムニア寮に？」


私はポケットからシュトレンが入った袋を出す。


リリア「これは…“シュトレン”だな。ユールの宴に良く出される」

『はい。知り合いに作っていたんですけど…その人だけ渡せなくて』

リリア「ふむ…して、その知り合いの名は？」

『…あーえっと、名前は分からなくて…教えてくれなかったというか……。
で、でも特徴凄いので分かりやすいと思います。

黒い髪に黄緑色の凄い綺麗な瞳で、黒いツノが生えていて…あと、身長凄い高い方です』


リリア「！？…‥……その者、何と名乗っていたんだ？」

『えっと………す、好きに呼んでいいと呼ばれたので……“ツノ太郎”って』

リリア「ツ、ツノ太郎！？…プッハハハハ！！！」



突然笑い出したリリア先輩に多少‥というか大分ビビル。
え、何？え？



リリア「いや、すまん、すまん……ど、どうやら…っ、わしの知り合いの様じゃ」

『あ、そうでしたか！…あ、でもホリデー中ですし、会わないですよね。
お礼もかねて…と思ったんですけど、すいません』

リリア「構わぬ。そやつとは殆ど毎日会うからな…手渡しておこう」



そういい、リリア先輩は私の手からシュトレンを受取った。



リリア「ふふふっ、あやつが気に入るだけの事はある。
お主はやはり面白い女子じゃな」

『は、はぁ』

リリア「では、しかと受け取った。わしはこれで。良きホリデーを」



そう言うと、リリア先輩は一瞬で姿を消した。
‥…ディアソムニア寮の人って、こういう帰り方しか出来ないのかな？


まぁ、渡してくれるらしいし…いいか。
しかし、M.Dってマジで誰？





手渡された封筒の招待者にうーんとなったが‥冷たい風がふぶいてきたので、慌ててオンボロ寮へ飛び込んだ。

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