第六章55_大人からの忠告 ページ8
クルーウェル「1年生に降り注ぐ瓦礫を魔法障壁で弾きながら攻撃魔法を使うことは難しい。突発的に交戦状態に陥ったときこそ、冷静な状況判断が大切になる。そうでなければ、このように自滅する」
エペル「あ、あはは。確かに戦っている間ずっと上から瓦礫が降ってきてた、かな?」
『奴等のせいもあるけど、大半の窓ガラスは皆の魔法で吹き飛ばしてたね』
必死過ぎて覚えてないけどオンボロ寮の内部崩壊はほぼ私達のせいかも。
クルーウェル「これだから後先考えないバッドボーイどもは……。起きたらみっちりしつけ直してやる」
エペル「でも、2人はグリムクンのために……」
クルーウェル「誰のためであろうが関係ない。馬鹿な真似をする仔犬がいれば、叱るのもトレーナーの務めだ。今回は怪我程度で済んだからよかったようなものの……もし相手にお前らの命を奪う気があったら、今頃取り返しのつかないことになっていたんだぞ」
正論過ぎて何も言い返せなかった。
奴等の目的はオーバーブロットした先輩たちや、グリム君だったから対象外の私達にはスタンが有効的かつ最終手段だったんだろう。けど、邪魔者を排除なんていう指示が組み込まれていたと思うと……きっと、私達1年生を含めてルーク先輩、カリム先輩も命を落としていただろう。
彼は“大人”として“子供”の私達に言ったんだ。
『……すいませんでした』
エペル「……ごめんなさい」
クルーウェル先生の厳しい言葉に私達はすっかりしおれてしまった。
エペル「ヴィルサンはそれがわかってたから、1年生は下がってろって命令したんだね」
『うん。最前線に自分たちが立って、危険から遠ざけてくれたんだ』
エペル「……わ、こったのばっかだ。負げでばっかで、情げね。ヴィルサンだちが連れで行がれだのっと見でるしかできねがった……」
唇を噛みしめるエペル君を見て、あの瞬間の現像が脳裏を離れない。
倒れる皆、泣き叫びながら助けをこうグリム。それでも、助けられなかった無力な自分。
魔記の筆を握れるようになって、漸く1人でも戦えるようになったっていうのにまるで歯が立たなかった。
『私も、何もできなかった』
大きな力を持っててもそれを使いこなせなければ何の意味もない。
ジャック「…………最初からなんでもできるヤツなんかいねぇよ」
「『え?』」
憂いを帯びた空気の中、一筋の明かりを差し込むようにジャック君の言葉が入った。
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時間の止まったリス - 6章の新しいお話が解禁になりましたね! 今月末にも新しい章が解禁になります(☜何の話するか忘れた)。5章のお話にあったように、就職活動お疲れ様です。次の更新まで首を長くして、でも適度に(語彙力がしにました)待ってます! (2022年3月4日 14時) (レス) id: d39a98933d (このIDを非表示/違反報告)
ALICE(プロフ) - ほんぽんさん» あけましておめでとうございます!ここまで読んでくださり、ありがとうございます!新年が始まり、作者自身も忙しくなり更新が出来ない時期が度々出てくるかもしれませんが、頑張って続けていきたいと考えています。これからも応援をよろしくお願いいたします! (2022年1月3日 23時) (レス) id: 3b90083b4f (このIDを非表示/違反報告)
ほんぽん - あけましておめでとうございます☀️ 昨日から新年が始まりましたね。作者様も、今年もお体に気をつけてお話を作ってくれたら嬉しいです。応援してます! (2022年1月2日 9時) (レス) @page8 id: 36b84f5ade (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ALICE | 作成日時:2021年12月30日 22時