第六章58＿オンボロ寮を後にして ページ11
飛び出してきた物体をよく見ると、オンボロ寮に住みつくゴーストさん達だ。
『び、ビックリしたぁ』
ゴースト1【すまねぇ。驚かせるつもりはなかったんだ】
ゴースト2【オンボロ寮が大変な事になって、グリ坊も……。Aは怪我とかねぇのかい？】
『私はかすり傷位だから。ところでステラは？ここに寝かせていた筈なんだけど』
誰もいないベッドを見ながら訪ねると、【ああ、そのことを伝えに来たんだ】と言うゴーストさん。
ゴースト3【ステラなら他の妖精たちが、“妖精の国”に連れて行ったよ】
『妖精の国？』
ゴースト2【ブラウニーは家に属する妖精。所属する家がこのありさまじゃ、いくら回復魔法をかけても長続きしない。みかねた妖精の女王様が入り口を開いてあげるからって、他の妖精たちに頼んできたんだ】
『それで、ステラは妖精の国に？』
ゴースト1【オンボロ寮がこの分じゃ、元に戻るまではこっちに戻らない方が良いだろうって…すまないな、勝手に決めてしまって】
申し訳なさそうにする彼らに首を振る。
確かに家がこのありさまじゃ彼女の体にも悪い。妖精の国に戻って回復するなら本望だ。
『分かった。ありがとう』
ゴースト2【Aもオンボロ寮を出ていくのかい？】
『そうだね…。今のままじゃとても住めないし』
ゴースト3【そうか】
【寂しくなるな】と呟くゴーストさん。罪悪感が胸を込み上げるが、それを押し込めて『でも』と言葉を続ける。
『きっと元通りにするよ。いや、もっと豪華にする予定だから…その時には豪勢にパーティーでもしよう…………グリム君も一緒に』
ゴースト1【…………そうだな！豪華なオンボロ寮、楽しみに待ってるさ！】
ゴースト3【おっと、荷造りの邪魔しちゃったな。俺達も出ていくぜ】
ゴースト2【他の寮に行っても、風邪ひかないようにな〜】
スーッと体を透かせ寝室から姿を消したゴーストさん達。彼らの励ましを胸に抱きつつ、荷物を詰めていく。着替えに、教科書、あとは…。
箪笥にしまっている魔符具や大量のインクを見下ろす。
大人に任せろ、とクルーウェル先生に言われたからこれの出番はないかもしれない。
だけど、持っておくだけならと自分に言い聞かせ、それらをすべて荷物に詰める。
小さな鞄に入れれるだけ詰めこみ、相棒と長らく共にした寝室を出る。
薄っすらと手を振るゴーストさん達に見送られ、2人と合流した私はオンボロ寮を後にした。
第六章59＿猪突猛進狩人→←第六章57＿オンボロハイグレード寮
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 173人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
時間の止まったリス - 6章の新しいお話が解禁になりましたね! 今月末にも新しい章が解禁になります(☜何の話するか忘れた)。5章のお話にあったように、就職活動お疲れ様です。次の更新まで首を長くして、でも適度に(語彙力がしにました)待ってます！ (2022年3月4日 14時) (
レス) id: d39a98933d (このIDを非表示/違反報告)
ALICE(プロフ) - ほんぽんさん» あけましておめでとうございます！ここまで読んでくださり、ありがとうございます！新年が始まり、作者自身も忙しくなり更新が出来ない時期が度々出てくるかもしれませんが、頑張って続けていきたいと考えています。これからも応援をよろしくお願いいたします！ (2022年1月3日 23時) (レス) id: 3b90083b4f (このIDを非表示/違反報告)
ほんぽん - あけましておめでとうございます☀️ 昨日から新年が始まりましたね。作者様も、今年もお体に気をつけてお話を作ってくれたら嬉しいです。応援してます! (2022年1月2日 9時) (レス) @page8 id: 36b84f5ade (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ALICE | 作成日時：2021年12月30日 22時
