第六章18＿美容師ヴィル…？ ページ19
『いや、髪位でそんな……』
ヴィル「何より適当に切り落としたからか、癖がついてボサボサになってみすぼらしい。見てられないわ」
罪悪感というよりも、そっちが本音では？
というか、事前に知らせてほしかったんですけど…。
ヴィル「どうせ、町に行って美容院に行く気ないんでしょ？」
『まぁ、はい』
ヴィル「そこで即答するんじゃないわよ」
ぶっきらぼうに言っているが、これは彼なりの気遣いなのだろう。
まぁ、実際美容院に行くつもりも無かったし、何よりこのままでいいとすら思っていたから、切られても困るものはない。
『じゃあ…お願いします』
ヴィル「ん。じゃあ、髪の毛触るわよ」
『あ、はい』
控えめな許可の後、ヴィル先輩は私の髪を手に取り、ブラシで丁寧に梳き始めた。
自分でする時はやや乱暴に梳いたりするが、彼はひどく丁寧に梳いてくれている。
グリム君もブラッシングして気持ちよさそうに喉を鳴らしていたが……今は少しだけ気持ちがわかる。
全体を梳き終えると、一部分の髪をピンで止めるヴィル先輩。鏡越しに見ていて、その手際の良さに思わず感嘆した。
『器用ですね』
ヴィル「誉め言葉として受け取るわ。何度か映画で美容師の役を演じたことがあってね、その時にプロから講習を受けた事もあるの」
得意げな笑みを浮かべた彼は、すぐに真顔に戻った。
プロからの講習を受けたのならば、その仕事も理解しているのだろう。
…なんというか、自然と手元に意識を集中させている気がする。
黙々と作業をこなしていき、机に置かれていた大きめのハサミを取り上げた。
鏡越しにヴィル先輩の真摯な眼差しがぶつかる。
ヴィル「ここまでしといてなんだけど、いいのね」
『…はい。お願いします』
ヴィル「……分かったわ」
髪にハサミを当てるのに合わせて、私は自然と目を閉じる。
何となくだが、切り終わるまでは鏡を見ないようにしようと思った。
ヴィル「……切るわよ」
『はい』
念押しするように聞いたヴィル先輩は私の髪を手に取る。
そして私が頷くと、深呼吸をして、ハサミの刃を髪に当てた。
…さくっ。
小気味良い音と共に、微妙に伸びていた毛先が切り落とされた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 236人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ナギサ(プロフ) - あ"〜……本当に主様やってくれますね。自分好きな言葉をいつもいつも小説に組み込んでくれている…超能力者ですか？？？ (11月25日 16時) (
レス) @page21 id: f18589988d (このIDを非表示/違反報告)
ALICE(プロフ) - ふわなさん» お返事おくれてしまい申し訳ありません！誤字がちょびちょび目立ってしまいますが、楽しんでいただけたら嬉しいです！一時期更新停止いたしますが、今後ともこの作品をよろしくお願いいたします！ (2021年11月18日 23時) (レス) id: 3b90083b4f (このIDを非表示/違反報告)
ALICE(プロフ) - ふわなさん» お返事おくれてしまい申し訳ありません！誤字がちょびちょび目立ってしまいますが、楽しんでいただけたら嬉しいです！一時期更新停止いたしますが、今後ともこの作品をよろしくお願いいたします！ (2021年11月18日 23時) (レス) id: 3b90083b4f (このIDを非表示/違反報告)
ふわな - 初コメ失礼します！素敵な作品に合うことができました・・・！お話もかなり続いていてすごいです！文もなんだか頭に入りやすくて！大きな誤字も無いので少しの誤字なら大丈夫ですよ！応援しています！好きなアニメの要素があって好きです！頑張ってください！！ (2021年11月2日 18時) (レス) @page40 id: 7054f2498a (このIDを非表示/違反報告)
ALICE(プロフ) - モモカ🌼さん» ありがとうございます！かなり長いシリーズですのに、それを毎日見て頂けてとても光栄です！今後とも更新頑張りますのでよろしくお願いいたします！ (2021年10月13日 21時) (レス) id: 3b90083b4f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ALICE | 作成日時：2021年9月24日 16時
