〈ツイステ〉ねじれた世界の御伽噺第二幕 (ページ46)

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第一章 95＿誘われる手ページ46

『わ、私、戻る』

クルーウェル先生やトレイン先生の授業でも習った。
妖精や精霊の偉大さ…そして恐ろしさ。

ドリュアスは人前に姿を見せない精霊…だが、時折美しい娘の姿をして、
美しい男性を誘惑し、木の中に引きずり込む。

今、私は多分…誘惑されている最中だ…女なんだけども。

手を振り払い、背を向け走り出そうとする。

　【どこ行くの？だって帰る場所何て無いんでしょ？】

その言葉を聞いて、足が止まった。

　【知ってるわよ。貴方が違い世界から来たって。

　今は受け入れてくれても...魔法が使えない貴方何て、

　本当に必要としてくれる人いるの？】

さっき、見た夢を思い出す。
母の言いつけを破って、反抗して＿＿＿その後、戻って来なくなった母。

いないよ。

向こうに戻っても、待っている人はいない。

いてもいいと言われたけど＿＿＿それがいつまでか、私だって分からない。

　【大丈夫～“こっち”にきたら、捨てられる心配何て無いわ】

甘い声につられる。
足を動かし、ドリュアスの方をもう一度向いた。

彼女は、小さな手を私に差し伸べる。

　【魔法が無い子何てつまらないけど……貴方は良い匂いがする。

　 “此方側”に近い人間なのかも。

　フフ、皆のお土産に出来るわ～】

何かに押されるように、私は前に歩き出す。

ゆっくりと上がった手をドリュアスの小さな手に伸ばす。

　【そうそう、それでいいの。
　

　向こうで楽しく、一緒に、狂っちゃいましょう＿＿

　あっちなら、誰も貴方を“拒絶”しないわ】

あともう少しで、私の手がドリュアスに触れる

　その時。

＿＿＿＿「A―！！！！？」

『！！』

グリム君の声が聞こえた。