第一章 63_私の世界 ページ14
読み終わった本を直し、新しい本を取ろうと手を伸ばそうとした時、
また痛みが走った。
『っぅ…!』
伸ばした手を引っ込め、胸を抑える。
パーティーで感じた痛みより痛い。
______ポタ、ッ__ポタ
【……レイと…ニャと遊ぶのは____しい】
そして、また聞こえてくる声。
パーティー会場で聞いた女の子の声じゃない。
聞いた事がある声…誰だ?
もう少しで思い出せる気が………。
________「A!!!!!」
『っ!!』
後ろから聞こえてきた声と共に背中に感じる柔らかい感触。
…………これは。
『…グ、グリム君?』
グリム「お前、また具合悪くなったのか!?大丈夫か!?」
『………だ、大丈夫、だよ』
どうやら、本棚にもたれかかっていたらしい。両隣には心配顔のエース君とデュース君がいた。
エース「また心臓か…?」
『…うん。けど、もう収まったよ』
デュース「兎に角、座っていろ。少しでも身体を休めた方が良い」
デュース君とエース君の手をかり、椅子に腰かける。
グリム「ほ、本当に病気じゃねぇのか?それ」
『…もう治ったんだけどね』
エース「10年前だろ?何で今更…」
『………ストレス、かな』
デュース「学園に入った事の、って事か?」
グリム「違ぇよ。こいつの場合は、元の世界に戻れない事でのストレスだろ」
「元の世界?」と首を傾げる2人。
あ、そうか…2人は知らないんだっけ。
『……私、違う世界から来たの』
「「は?」」
『あ、頭はおかしくなってないよ』
ぎょっとしている2人に誤解されない様に弁解する。
デュース「ち、違う世界って…どういう」
『私は魔法何てものは現実に存在しない世界から来たの。その世界には大魔法士なんていないし、喋るモンスターもいない。それが私達の常識で…私がいた世界だった。
どうしてか分からないけど、私はその世界からこの世界へ飛ばされてきたみたい』
2人は目を見開いて私の話を茫然と聞いていた。
いや、それもそうか。
普通じゃ信じられない話なんだし。
____やっぱり気持ち悪いとか、変だとか、思われちゃうかな。
エース「んで、お前戻りたいの?」
『……え?』
デュース「え?…じゃないだろ。まさかそんな壮大な話だったとは…。そりゃ、後遺症も10年分襲ってくるわけだ」
エース「つーか、そのストレスなら、もう早く受け入れるか、忘れるか無くね?」
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作者名:ALICE | 作成日時:2020年7月15日 11時