第五章 134_悪役と主人公 ページ39
はたかれた頭を撫でていたAはその手を心臓に手を当てる。
『…私に魔力が宿る奇跡も存在するんですか』
期待を目に浮かぶAに苦笑いして、「勿論だ」と告げるソーマ。
『だったら』と言葉を続けるAをさえぎり「だがな」というソーマ。
ソーマ「よく覚えておけ。
“奇跡”には必ず代償がつく。その奇跡に代償が見合うか見合わないかは分からない。
けど、その代償は自分だけじゃなく、周りの人間に向くことだってある。
…魔法は奇跡であり、“厄災”だ」
そういいながらソーマは自信の右目をさする。
『その目は代償なんですか?』
ソーマ「……さぁな、どうかな」
さすっていた手をどけ、Aの頭にポンッと手を置く。
ソーマ「その厄災を背負う覚悟が必要なんだよ。特にお前はな」
『…覚悟、ですか』
ソーマ「だから俺は、その奇跡の方法をお前に教えはしない。お前が自分の力で知り、決める事だ。俺から開示すればお前は二つ返事で受け取るだろう。
けど、それじゃ意味がない」
銀色の瞳がAの蒼を映す。
ソーマ「自身で決めたその選択が、間違っていないと…間違えないと、お前自身が決めろ。
魔法士は良い職業じゃない。
つらい事、痛い事、苦しい事、胸糞悪い事が多い。けど、それを含め、自分が間違っていないと自分に言い聞かせ続ける。心の持ちようが大事なんだ。
それができず、心橋半ばで挫折し、この世界から消えていった魔法士を俺は多く知っている。歴史が知っている。お前をその一人にしたくはない」
はぁ、と白い息を吐きつつ、ソーマの話を黙って聞くA。
そんなAを見て、こわばらせていた表情をフッと優しくし、自分自身のローブをはおらせる。
ソーマ「
『え?』
ソーマ「その法則が間違っていると俺は思う。
だからそれを事実だと認めさせるため、間違っていないと信じる為、俺は奇跡を起こし続ける。誰にも文句を言われないように、誰にも俺に追いつけないように、
……後悔しないように」
『…後悔?』
ソーマ「信じる方の味方になるということは……信じない方の敵になる事だ。
その選択が、間違っていないと信じる為に………俺は、魔法士であり続ける」
___よく考えておけよ、A。
お前が本当に、俺の弟子であり続けていいのか
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ALICE(プロフ) - ちりさん» ご理解いただきありがとうございます!ぼちぼちと落ち着いてきたので、亀ですが更新を再開していこうかなと思います!5章、面白かったですね!原作の面白さを崩さないように、書き進めていきますのでよろしくお願いいたします! (2021年1月31日 1時) (レス) id: 3f68f499ff (このIDを非表示/違反報告)
ALICE(プロフ) - ユナさん» 遅い返信ですが、ありがとうございます。この作品を呼んで少しでも元気を与えられていたら、とても感謝感激です。このご時世で色々と不安な事がありますが、少しでも気晴らしのようになればと思い、がんばっていきます。 (2021年1月31日 1時) (レス) id: 3f68f499ff (このIDを非表示/違反報告)
ちり(プロフ) - そうだったんですね!それはもう単位の方を優先してください!学生さんにとっては大事なことです◎!こんなご時世で色々と大変ですがどうかご無理をなさらずに!☆いつになってもゆっくりお待ちしております!5章も面白いのでまた楽しみにしてます! (2021年1月27日 7時) (レス) id: 8fda52038f (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - いつも楽しみに読んでいます!!この厳しい生活環境のなかaliceさんの作品でいつも元気を貰っています!!これからも更新をゆっくり楽しみにしながら待っています!!! (2021年1月16日 19時) (レス) id: eb6ad586eb (このIDを非表示/違反報告)
ALICE(プロフ) - ユナさん» 何度も読んでくださりありがとうございます!5章ラストどうなるか気になりますね!今後も更新続けて行きますのでお願い致します! (2021年1月6日 1時) (レス) id: 3f68f499ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ALICE | 作成日時:2020年10月30日 1時