劫火の永遠 2【炎炎ノ消防隊】 (ページ30)

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【78】　冷たい妹ページ30

『あとはお任せして、よろしいんですよね』

バーンズ「あぁ。この件は我々が引き継ぐ…君も一族への報告は任せてもらえないか」

『わかりました。ですがセイラには、出張に行ったまま殉職したとお伝えください。
殺害されたとなれば、党首争いに火種が残りますので』

淡々とそう言い、一礼するとAは背を向けた。

森羅「っ…何で…何でだよ！！兄貴なんだろ！？なんでそんな冷静でいられるんだよ！！」

大聖堂を出たAにそういう森羅。
その声に、立ち止まったAは森羅の方に目を向ける。

『紫龍炎家は、皇国の中では第一の名家。当然、暗殺なんかもされている。
第一子が、出産した瞬間に殺されるケースなんて、珍しくない。
全員30を生きれたら珍しい方だ』

森羅「っ…」

『紫龍炎政宗は…党首の候補、暗殺される可能性が第一に高かった。
だからそんな、驚くことじゃない』

森羅「……なんで、でも…お前ら、血繋がっているんだろ！？悲しいとは…」

『そんな感情で振り回されるほど、私達の絆なんて薄いの。
あなたとあなたの弟と違って』

絶句する森羅にそう言い、Aはそのまま寄宿舎の方へ戻って行った。
暫く茫然とする森羅。

そんな森羅の肩にポンッと手を置くカリム。

カリム「…軽蔑、しないでやってくれ」

森羅「…カ、カリム中隊長」

カリム「……アイツは元々“ああ”だったんじゃない。
“紫龍炎家”があいつらをそうしたんだ」

怒りが込められたような低い声でそう言い、カリムは大聖堂の仲へ入った。

アーサー「…おい、悪魔。戻るぞ」

森羅「お前は‥何も、思わないのか」

アーサー「…Aの家の問題は、俺達が抱えるには大きすぎる。
まぁ、俺は騎士王だからせいだいに受け入れられるが」

ドヤ顔するアーサーを見て、少しだけ緊張を解いた森羅はハァと溜息を吐いた。

森羅「…寛大に受け入れるだよ…バーカ」

＊＊

一人食堂へ帰り、係の人がビビっている中、普通に食事する私。
コソコソとした声が聞こえてくる。

…家の人間が死んだのに、
…アイツがやったんじゃないの？
…不気味…。

などなど、よくある声だ。
だけど、紫龍炎家は本当に暗殺されやすい。

そりゃ親族が1000人超えてる大一家だし、
資金力もあるし、派閥の争いなど…理由をあげればキリがない。

今暗殺されやすいのは、兄と…セイラだった。
兄が死んだということは、セイラが次期党首で確定だろうな。