日本艦隊 ページ5
「長門、作戦実行艦隊全艦出撃したぞ。」満州がモールス信号を打ちながら言った。
「そうか。作戦内容を伝えてくれ。」
「りょーかい。」
その頃、出撃した艦隊は敵海域に入っていた。
「赤城殿、敵艦全く見えないどころか地図であった筈の島一つないのは可笑しいと思いません？」太刀風が顎に手を当てながら言った。
「確かに、石島最高司令が来たときは此処の周辺に島があった筈ですね。」その時だった。
「直上、敵機はっけーん！対空戦闘！」刈萱が上を指さしながら言った。
「奴等、島々を消し飛ばしたか此処に居るってことは、近くに航空戦隊が...いたぞ！正面と左舷だ！」伊507甲が言った。
「潜り込まれた！吹雪ぃ！」伊吹が言った。
敵戦闘機が爆弾を落とした時だった。大きな音を立てて、黒煙が上がり爆弾と共に落ちていった。
「近接信管？でも何処から...？」吹雪が言った。
「大丈夫か？」吹雪が見上げた時、見たことのない艦隊が手を差し伸べていた。
「貴方達は？」
「俺等は日本(ひのもと)艦隊。俺は旗艦の旭日だ。隣に居るのは副旗艦で弟の日章、菊花、錦旗だ。」と旭日は言った。
「日本艦隊...」
「野郎共、敵を蹴散らすぞ！」錦旗が怒鳴った。
「しゃぁ来たぁ！お頭ぁ、全員あの世送りで良いんだな？」日本艦隊の砲艦隊旗艦・穂高が言った。
「あぁ、全員冥土送りにしてやれ。」三八式歩兵銃を肩に叩きながら言った。まだ信管を撃った時の煙が銃口から出ていた。日本艦隊の戦い方は、何処か前弩級艦隊と似ていた。しかし明らかに違ったのは、所属艦の規模と攻撃方法だった。奥深くまで切り込み、敵を切り刻んだり、ほぼゼロ距離で主砲を撃ったりやたらと格闘戦を挑んでいるのだった。砲声や刀の冷たい鋼の音が吹雪の耳に絶え間なく聞こえた。勝負はすぐに着いた。運良く生き残った敵艦も慌てて逃げていった。
「敵艦隊が逃げ出したのです！」電が言った。すると電の頭を後ろからわしゃわしゃされた。
「あわわ、何するのです！」と言いながら後ろを振り向くと元日本艦隊所属、五十万トン級戦艦・日本(ひのもと)が居た。
「勝ったな。」電に日本はそう言うと、後ろを振り返り大声で
「勝鬨を上げろ！」と叫んだ。日本艦隊は声を合わせ、
「エイ、エイ、オー‼」と戦国風の勝鬨を上げた。完全なる圧勝だったが、観測艦二隻の姿は無かった。
「変わってませんねぇ日本艦隊は。」そう朝日は呟いた。
「そうでごわすな、日本艦隊は皆強い。頑張ってもらうでごわす。」
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作者名：伊吹 | 作成日時：2021年10月23日 1時
