︎ ︎⋆̩*̣̩☂︎*̣̩⋆̩ ページ15
「いッ！？」
ぱちん という乾いた音と共に、頬に痛みが走った。
思わず、出る必要のない声が漏れ出る。
じんわりとした痛みが、
頬全体に広がっていくのが感じられる。
それと共に、意識が現実へと戻ってくる。
視界に、色がついていく。
＿＿＿＿＿＿＿考えすぎて周りが見えなくなるのは、悪い癖だ。
「な、なんすか…」
未だ痛む頬に手を添えながら、
目の前の人物に睨みながら問いかける。
黒の祭服を着た、特徴的に渦巻いている黄髪の男。
淡い金色の髪が、ふわりと揺れた。
メガネと長い前髪のせいか、
彼の瞳は奥底まで隠れていて、窺うことはできない。
「ああ、よかった。気づきました？」
癖のあるダミ声が、楽しそうに、嬉しそうに踊る。
メガネの奥に見えた瞳は、慈しみに溢れていた。
決して分け隔てることはない、優しい眼差し。
服装的に見ても、彼は牧師なのだろう。
よか見てみるとわかるが、胸には十字架の
ネックレスのようなものが付けられていた。
「あぁ、私、きりやんって言うんですけども…」
「…スマイル、っす」
思い出したかのように
自己紹介をした彼に、俺も名を名乗る。
数秒、気まずい沈黙が流れた。
何か声を出そうとするも、
喉に引っかかってなかなか取り出すことができない。
そんな中、声が聞こえた。
春の日差しのように、柔らかく温かい声。
『……さっきぶり、ですね』
スマイルさん、と俺の名前を呼ぶ声が。
甘く澄み透った彼女の声が、脳の奥まで響いた。
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作者名：さくさくパンダ | 作成日時：2023年8月26日 13時
