幸せを呼ぶ桜【黄】 (ページ1)

今日:7 hit、昨日:0 hit、合計:41,795 hit

〇1 ページ1

＿＿＿マル対が非常階段を屋上に向かって逃走中。A追えるな？
『はい、追います！』

インカムからの上司の指示にすぐさま返事をし、屋上へと続く非常階段の扉を開けた。

ここはビルの25階。屋上まではまだざっと10階ほどはある。

『なんっで階段使うかな？！おかげで私までこの階段上らなきゃいけないじゃないの！！』

なんて悪態をつきつつ、一応腰にある拳銃を確認しながら屋上へと足を進めた。

屋上の扉をそっと開けて、花壇やベンチの隙間からマル対を確認。

本当は入ってすぐに“動くな！”なんて刑事ドラマみたいにやりたいけど、それをやって事を荒立てずに処理できてるのを見たことがない。

＿＿＿A状況は？
『屋上にはマル対のみ。携帯で誰かと通話中』
＿＿＿内容は？
『この距離じゃ聞こえません』
＿＿＿俺らが向かうまで勝手な行動するなよ
『はい』

“勝手な行動するなよ”ってなに？
まるで私がいつも好き勝手動いてるやつみたいじゃない？まぁ…そうじゃないと自信をもって反論はできないけど。

いまだ通話中のマル対にちらっと視線を向ける。もう少し近づいたら声聞こえるな。

そう判断してかがんでいた腰を少しあげた時、

「動くな」

後ろから男の声とともにひんやりとした銃口が頭に突き付けられた。

え、その言葉言っちゃうの？どうせなら私が言いたかったのに…

なんて考えてる私は結構図太いかもしれない。