幸せを呼ぶ桜【黄】 (ページ2)

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「拳銃を置いてそのまま立て」

手をあげろ、なんてこれまたよく聞くフレーズを口にする後ろの犯人。後頭部に銃を突き付けられたまま電話してたマル対の方へと歩かされる。

あーあー、これは岩本さんに後で怒られるやつだ。

だってほら、開いた扉から今かけつけたであろう岩本さんの顔が怖い。拳銃をこちらに向けながらものすごく眉間にしわが寄ってる。

もう一回言っておく。とっても怖い。

岩「このビルに仕掛けれらた爆弾は全部で５つだな」

岩本さんの言葉で突き付けられている銃がピクリと動いた。どうやら当たりらしい。

もしやこいつの左ポケットが膨らんでいるのは起爆装置のスイッチ？それならば私がする事は1つ。スイッチを岩本さんに見えるよう犯人を誘導するだけ。

『知ってるわよ。その左ポケットに何が入っているかなんて』
「知ってたからってどうなる？そうさ、これ1つで全てが吹っ飛ぶ」

そう言いながら、わざわざご丁寧にスイッチを持って前に見せつけてくれる犯人。

その瞬間、岩本さんから放たれた銃弾によってスイッチがはじかれ宙に舞った。

地面につく前にそれをできるだけ優しく蹴れば、一緒に応援に駆けつけてくれた先輩の佐久間さんがキャッチしてくれる。

『わ、佐久間さんナイスキャッチです！』
佐久間「いぇーい！あ、A後ろ後ろ！」

佐久間さんの声で後ろを振り向けば、なかなかのスピードで相手の拳がとんでくる。

おっと。慌ててよけながらそのまま渾身の背負い投げをお見舞いし、拳銃を持ってるその手をひねり上げた。

苦しそうなうめき声が聞こえた方にちらっと視線をやれば、もう一人の奴が岩本さんの重い一撃を受けていた。うわ、あれは痛そう。むしろあれでは犯人に同情さえするほど。

岩「さっさと片付けるぞ。佐久間はこいつがさっき電話してた相手を調べといて」
佐「あいよー！かしこまり～」
岩「他のやつは爆弾の回収。万が一の事を想定してくれぐれも慎重に。それが終わったら戻って報告書」
「「「『はい！』」」」
岩「あ、Aは分かってるな？」
『え』
岩「報告書できたらすぐ俺のとこに来い」
『……はい』

有無を言わせない圧に二つ返事をせざる負えず、すがるように佐久間さんに助けを求めれば楽しそうに笑って手を振られるだけだった。