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“「じゃあ、今日の放課後教室で待ってるね」”
授業の終わりにそう約束した。
高校3年生にしてはじめての男の子との約束、それも好きな人と。
こんなにも浮かれてしまう行事があってもいいものなのだろうか?
今日の私は、放課後の漢字勉強会のことで頭がいっぱいいっぱいで、数学の授業なんてろくに出来たものじゃなかった。
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「カラオケ寄ってこー」「私、今日塾あるんだわ」
今日は時間の進みがいつもの倍早かった気がする。
ついに待ちに待った放課後の時間となり、教室のいりもまちまちになってきたところだった。
私は、必要な道具以外を鞄に詰め込み、黄木くんが来るまで待つことにした。
「ごめんね、お待たせ」
そう言って黄木くんは教室の扉を開けた。
もう、そこにあったのは私と黄木くんの空間だけであった。
「よろしくお願いしますね、瀬川センセ……!」
「あっ、先生なんて……そんな……!」
「僕に一対一で教えてくれるんですよね?だったら先生です、漢字の先生」
顔に熱が一気に集中する。
「……っじゃあ!先生らしくできるように頑張るね……!」
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「わ!解けた!」
黄木くんは自身のノートを持ち上げてそう言った。
「見てください!瀬川さん!瀬川さんのおかげで僕、漢字の問題解けましたよ!」
「すごいね!でも私のおかげじゃなくて、黄木くんが頑張ったからだよ!」
そうやって喜ぶ黄木くんはなんだか可愛らしかった。
しかし、楽しい時間は終わりを向かえるのがとても早かった。
もうすぐ、完全下校の時間。
今日の漢字勉強会はこれで終わり。
黄木くんも私も、帰りの支度をはじめた。
少しの沈黙。
それを破ったのは意外にも私であった。
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きキ(プロフ) - パスタさん» ありがとうございます〜!!自分のペースで頑張らせていただきます…! (2021年4月26日 8時) (レス) id: 937d8618c2 (このIDを非表示/違反報告)
パスタ - 更新頑張ってください (2021年4月26日 7時) (レス) id: ea8636738a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:といぷ~ | 作成日時:2021年4月25日 9時