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黄木くんの答案用紙……。
私は、つい身構えてしまった。
下手な丸付けはできないと覚悟して採点に挑んだ。
「……あれ?」
しかし、現在進行形で私が丸付けをする黄木くんの答案用紙にはペケばかり。
もしかして採点ミスでもしてしまったのだろうか、急に不安になり黒板の答えと黄木くんの答案用紙を何度も行き来する。
しかし、黒板の答えと黄木くんの答えは違う。見間違いではなかった。
沢山のペケがついた黄木くんの答案用紙。
私は、疑問を抱きながらも黄木くんに答案用紙を返した。
「すごいですね、瀬川さん!ほとんど正解じゃないですか!」
黄木くんは目をキラキラさせて私の答案用紙を返してくれた。
「あっ……と、きっ黄木くんはおしかったね……」
黄木くんは自分の点数を見て恥ずかしそうに答案用紙を机のなかに入れた。
「あはは、僕漢字がすっごく苦手なんです……バカだって思いました……?」
黄木くんはそう言って眉を八の字にした。
「うっ……ううん!そんなことないよ!誰にだって苦手はあるんですし!わっ、私も運動は苦手なので……!」
ガタンッと椅子から立ち上がり、大きな声で私は言った。
「瀬川!」
先生の大きな声が教室に響く。
「すっ……すみません」
「ふっ、ふふ……!」
黄木くんは先生にバレないようにふふっと笑っている。
またやらかしてしまった。
しょぼんと椅子に座り直すと私の方を見て黄木くんが言った。
「じゃあ、今度僕に漢字、教えてもらっていいですか?」
ギューッと心拍数が上がる。
「もっ、もち、ろん!……です!」
はじめての黄木くんとの約束だ。
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きキ(プロフ) - パスタさん» ありがとうございます〜!!自分のペースで頑張らせていただきます…! (2021年4月26日 8時) (レス) id: 937d8618c2 (このIDを非表示/違反報告)
パスタ - 更新頑張ってください (2021年4月26日 7時) (レス) id: ea8636738a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:といぷ~ | 作成日時:2021年4月25日 9時