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目を細めてこっちを見る先輩の優しい顔を見ていたら、いろんな気持ちが混ざって、込み上げてきて。
これは、私が“ 妹 ”だから向けられている表情で、自分の気持ちを伝えた瞬間に崩れてしまうんだ。
そう思ったら、自分の想いの行き場所がわからなくて泣きたくなる。
でも……泣いちゃだめ。
言えないなら、この距離が離れないように、先輩の望む私でいなくちゃ。
そう思って今出来る精一杯の笑顔で先輩を見上げた。
北「時々ちゃんと帰ってくるから。
んな顔すんなよ…。」
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心配そうな先輩の目。
……だめだ。
これ以上はもう見てられなくて、目をそらす。
「……宏光先輩?」
北「ん?」
「お願い、聞いてもらってもいいですか?」
北「…お願い?」
「はい、………お兄ちゃんにお願い、です。」
北「ちょ、なんだよー、そやって言われたら断れねーじゃん!」
ふふって笑う先輩。
「卒業式の日…
先輩のネクタイ、ください…っ。」
北「えっ、ネクタイ?」
「……ダメですか?」
顔を上げられないまま、そう言う私の頭をポンっと叩くと、
北「……お前ほんっとに俺のこと好きだな。(笑)
…いいよ。やる、Aに。」
“ 大事にしてよー?
なんたって俺のなんだからなっ。”
嬉しそうな声でそう言う先輩。
こんな風にして…みんなが欲しがる先輩のネクタイをもらおうなんて、ずるいのはわかってるけど
でも
……ちゃんとそれで、諦めるから。
それまでは、先輩を好きでいさせてください。
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それからは、1日が過ぎるのが本当に早くて。
先輩とは以前と変わらない関係に戻って、食堂にも、自販機にもまた行くようになった。
私を見つけるたびに、本当に嬉しそうに笑う先輩を見て、やっぱりあの時自分の気持ちを伝えなくてよかったって思って。
……だけどふとした瞬間に、切なくてたまらなくなって。
そんな毎日を繰り返しているうちに、3年の先輩たちはほとんど学校に来なくなって、あとは卒業の日を待つだけになった。
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ななこ(プロフ) - こたえあわせ、めちゃくちゃ好きで何回も読み返してます!もし良かったらこの話のAfterstory的なもの書いて欲しいです…! (2021年3月25日 1時) (レス) id: 6f285e02f0 (このIDを非表示/違反報告)
にこ(プロフ) - ぷにぷにさん» お返事遅くなってすみません!兄のきもち、楽しんで頂けてよかったです(*^^*)鈍感かと思いきや、1番鈍感じゃない、っていう雄平さん。(笑)遅くなりましたが、移行しましたのでそちらも是非読んで頂けると嬉しいです! (2019年7月22日 2時) (レス) id: 2beed3f33a (このIDを非表示/違反報告)
ぷにぷに(プロフ) - 兄目線、面白いです!!2人を見てきたお兄ちゃん……続き待ってます! (2019年7月15日 12時) (レス) id: 8e7e67402b (このIDを非表示/違反報告)
にこ(プロフ) - piroponcandyさん» 長いことお付き合い頂いてありがとうございました!(笑)おまけもつけてみたので、ぜひ読んでくださいね◎ほんと、主人公羨ましい。(笑) (2019年6月23日 17時) (レス) id: 2beed3f33a (このIDを非表示/違反報告)
にこ(プロフ) - ぷにぷにさん» コメントありがとうございます!!本当ですか〜(;_;)そんな風に読んでいただけていて、すっごく嬉しいです…!おまけも更新したので、ぜひそちらも読んで頂ければ(*^_^*) (2019年6月23日 17時) (レス) id: 2beed3f33a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:nico | 作成日時:2019年2月23日 23時