ちいさな恋 4th

＊ ページ42

北山side.




必死に顔を横に振って否定するのを見ながら、冷静さを取り戻していく。





「や、ごめん。







……やっぱさ…今日は別々に寝てい…？」





さすがにここに来ての拒否は結構なダメージ。





…なのに、そう言った俺の服をきゅっと掴んで離さないA。



A「やだっ、ちがうの、


…聞いてください…。」





泣き出しそうな表情で見上げてくるから、一度息を大きく吐いて、Aの隣にゴロンと移動する。




……もうこうなったら、惚れたもん負けだ。




隣に向き直って目線を合わせる。




「…どしたの。」




A「…あのね、私…、」





思いつめたような顔をしてるAを見て、ちょっと本気で心配になってくる。



「うん…？」









A「…………ないんです、……経験。



だから、どうしていいかわかんないから…っ


なんか変だったらって怖くなって…

ちゃんと言わなきゃって。」



小さな声で、涙目になりながらそう話すA。









………え？







え？！








「無いって…？……えっこれが初めてってこと？」






頭がついていかなくて、なんも考えずにそう尋ねたら、ゆっくり頷くから





「えっ、今までの彼氏は…？」





…なんてすげー無神経な質問ぶつけちゃって。





A「…いません。」





「えっ…。」





…いません？




「…1人も？」








A「……やっぱり、重いですよね、


こんな…この歳まで…そんなの…。」





か細い声でそう話すAに、今してしまった質問の全てを後悔した。







…でもAに限って今まで誰とも付き合って無いなんてこと…ある？



だって高校の時でさえ、“ 雄平の妹がかわいい ”って噂になったこともあったのに。

専門の頃なんて、絶対周りにいたやつがほっとかなかったはずだ。




それでも誰とも付き合わなかったAが、今こうして俺の彼女になったなんて信じられなくて。






考え込んで黙った俺を悲しそうに見つめて、





A「……ごめんなさい、やっぱり私があっちで寝ます。」




ってベッドから出ようとするから







「絶っ対だめ。」







そう言って引き戻して腕の中に閉じ込める。









「…………いいの？俺で。」






A「……こんなの…先輩、嫌ですよね。」





胸元に顔を埋めて消えそうな声で呟くA








「ばか。嫌なわけねーじゃん…。」

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