ちいさな恋 4th

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先輩、変わんないな。






……ほんと変わんない。





「先輩、大丈夫ですってば！

私もう大人だし、しっかり1人で帰れますよっ。(笑)

外明るいし、道も調べられます。


だから安心して寝て下さい。」




そう言うと曇った先輩の顔。



その次の言葉を待たずに、腕を掴む手をそっと外して



「ほんとにありがとうございました。

お仕事頑張って下さいね！


じゃぁ、失礼します。」




そう言って部屋を出た。





そしたら、ガチャっとすぐドアが開いて、

北「家ついたら連絡して！」


って焦った顔の先輩に、ちょっと笑っちゃって。


返事をしたら、先輩も少し笑って、エレベーターが来るまでドアを開けて見送ってくれた。








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深呼吸して、朝の澄んだ空気を感じながら歩いて帰る。









……なんで会っちゃうかな。









まだ会う覚悟なんて出来てないんだから、見つけないでよ、先輩。







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宏光先輩が卒業してからの高校生活は一気に色が無くなったみたいに感じて。


寂しくて、自販機には行けなくなって。


…でも、最後の一年楽しまないと損だよねって

裕太や友達とたくさん思い出を作って、夢も見つかった。




でもたまに、お兄に電話かけて来たりして、おもむろに電話を代わられては、優しい声を聞いて、先輩に会いたくて仕方なくなった。




だけど、その年は先輩がこっちに帰ってくることはなくて。




“ …時々帰ってくる ” って言ってたのにな。



そんな風にも思ったけど、諦めるって決めたんだから。

ちょうど良かったって自分に言い聞かせて。




行きたかった学校にも合格して、家を出て。
すっごく大変だったけど、充実した毎日。





入学してしばらくした頃、

『宏光、連休こっち来るって。』

ってお兄から連絡が来て、胸が跳ねるほどびっくりしたけど……その日は実家には帰らなかった。




会いたくて仕方なかったけど、きっと会えば簡単に気持ちが戻ってしまう。



それに


大学が楽しいとか、サークルに入った、とか

……彼女が出来た。とか


私の知らない場所で過ごしてる先輩のことを知りたくなかった。





…ほんと未練たらたらだよね。


笑っちゃうぐらい。




それからも、長い休みになると遊びに来てる先輩とは、日にちをずらして実家に帰るようになった。



2年で専門を卒業して、今の職場で働き始めて。

厳しい藤ヶ谷先輩の下について、いろんな事教えてもらって、やっと独り立ち。

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