ちいさな恋 4th

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えっ？






驚いて軽くバランスを崩すと、途端に身体が近くなる。




「A？！」









A「いもうとじゃ…ないよ…」








「…え？」








A「…せんぱい…、」







そう言った後、背中のシャツを掴んでた手が脱力して、ゆっくり身体をすべり落ちる。





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寝言…？






支えてた背中をゆっくり降ろして覗き込むと、やっぱり寝てる。



その寝顔から目を離せないでいると、閉じた瞳の端から一筋こぼれた涙。






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“ 妹 じゃないよ ”




" 先輩 "





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…そう言ったよな。








悲しそうにも苦しそうにも見えるその寝顔を見ながら、居酒屋で見たAの表情を思い出す。





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「……誰と間違ってんだよ。」








Aが呼んでる “ 先輩 ” は、俺じゃない。



そう思ったら、どうしようもなく胸が痛くなった。








流れた涙の跡を拭いながら、


“ 俺だったらこんな風に、、”



……そこまで思ってハッとする。









…何考えてんだ。









俺にとっても、こいつは妹みたいに大事な存在で。




転んでたら、手を差し伸べて



隠れて泣いてたら、
見つけて涙を拭ってやりたい



“ 先輩 ”ってAが隣で笑ってると嬉しくて



その笑顔が、ずっとこっちを向いてたらいいのにって






そう…思うのは、妹だから。









だよな…？





…Aだって、きっとそう思ってる。








高校卒業前に、俺のネクタイが欲しいって言ったA。





『 ………お兄ちゃんにお願い、です。』





あの日、そう言われて嬉しかったはずなのに。






今は…




『 妹じゃない 』






そう言って泣くくらい、Aに想われてる藤ヶ谷さんが羨ましいなんて……どうかしてる。






自分がいつまでも兄妹みたいな存在でしかないと思われてることが、こんなに切ないなんて。








……どうかしてる。









もうこんなん









「妹じゃねーよ……。」

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