足りない

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弟子入りして2年。



だいぶ仕事に慣れて…って言っても最初の1年と半分は雑用やシャンプーばかりだった

みんな、最初の方はシャンプーばかりだって聞いていたから、覚悟はしていたけれど




手の荒れがひどいのなんの…




それで美容師諦めた人もいるらしく、うちの美容院からも1人抜けていった





そこを耐え抜いて、私は今1人のスタイリストとして頑張っている






「私、近い将来自分のお店を持ちたいんです」


＞「いいじゃん！Aちゃんセンスあるしやれるよ、絶対」


「でも、才能だけじゃダメだと思うんですよね」


＞「確かに…そうよね」


「お金とか、自分の生活面も自分でやりくりしなきゃいけないので」


＞「…しっかり者だなぁ」


「当たり前じゃないですか。私、中学生の時の友達と約束してるんです」



少しだけ、嘘をついた

友達だけど友達じゃない、好きな人



＞「へぇ。なんかロマンチックね(笑)」


「(笑)連絡も取れないので、絶対に叶えてもう1回会おうって決めてます」


＞「Aちゃんなら出来る。頑張ってね」


「…はい」




弟子入りした時から私を見てくれていた先輩スタイリスト

まだ生まれたての私を励ましてくれた




＞「あ、そうだAちゃん」


「はい？」


＞「その子のこと、好きでしょ」


「…！？」



私、そんなに分かりやすかった…？

普通に話してたつもりだったのに



＞「見てたら分かるよ。その話になった時嬉しそうだったから」


「えっ…まじか」



パチパチとほっぺたを軽く叩いた


話さなきゃよかった…



＞「ん、あの人対応してあげて」


「はーい」






こちらの席にどうぞーってお客さんを促して、まだ慣れない道具たちにに手を掛けた






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