足りない

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運命のドラフト会議







彼がずっと、私の隣で呪文のように言っていた、夢



それが、今





叶うかもしれない








広陵の正捕手として、高校野球ファンを魅了した


イケメンマスクだって、女の子達をメロメロにした


プロ志望届も、提出した








テレビでしか見られない彼が、日本中から注目を浴びていることに、心が苦しくなった









彼は、本気だ









プロに入るんじゃないか、そんな噂も流れている




のに、




メインの球団はあまり取ろうとはしていないみたいだった


ロッテが検討しているくらい







もっと、彼を見て


彼の魅力に気づいているんでしょう？








矛盾した気持ちが、私の中で渦巻いていた






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“第8順選択希望選手＿“





ここまで、彼は名前が呼ばれていない


6位の球団の、最後の指名、かもしれない





もう、どこだっていい。


彼の名前を、告げてほしい





“選択終了“



“これで、全球団の指名を終了します“









聞きたくない、言葉だった









せめて、彼の名前を聞いてから、この言葉を聞きたかった。


いや、


聞けるもんだと思ってた








「嘘や…」







もう、何も考えられなかった








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