足りない

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私は、小学生の時からいじめられていた。




理由は…足がないから。


義足をつけていると歩きにくくて、ゆっくり歩かないとすぐにつまづいてしまう。

そんな私を見た同級生達は、私のことをバァと呼んだ。




「バァ、競走しようぜ」



走れもしない私に、そう言う。




当然、私はうまく走れない。


そんな私の背中を思い切り押して、私は顔から派手にコケた。




上から、笑い声と悪口が降ってくる。








学校に行きたくない。


そう思うようになり、いつしか私は学校に行かなくなった。






家でも、親から言われた。



「あんたは普通の子じゃない」



それが、どんなに子の心を傷つけるか。

親は、分かっていなかった。




昔は私の味方をしてくれていた父は、もうこの世にいない。









…私は、独り。



そう思う度に、キッチンからナイフを取り出して、首に当てようとした。

そう思う度に、カウンターに置いてあるカッターを持ってきて、右手首に当てた。






でも、出来ない。









怖くて、死ねなかった。





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