Episode6 ページ10
警部室に、大きな銃声が響いた。
(____!?)
銃を持つ者は今ここに自分しかいないと思っていた氷野は、自分じゃない何者かが銃を発砲したことに驚きを隠せず絶句状態。
だが、銃弾が肩に命中し、ヨレヨレな姿の無色のヤツを見て、氷野は我に返る。
すぐさま銃声がした後ろを振り返ると、そこには手が震えた新人巡査がいた。
｢お前...何やってんだよ!!｣
凶悪犯罪者を捕まえる為に、正しい事をした新人巡査に氷野は声を上げる。
無色のを止める為には、周りを巻き込まなければ何をやってもいい。
そう、国から最初に言われた筈だ。
それを、無色のに銃口を向け発泡した新人巡査を攻めた氷野。
自分の行動は、正義を守る警察がやる事ではないと気づかない氷野は、完全に無意識で無色のを庇っている事にもなる。
｢うっ...うわあぁあぁ!!!!!!｣
完全に気が狂った新人巡査は、自分の胸ぐらを掴む氷野に銃口を向ける。
頬に涙と汗が伝い、その雫が床に落ちると同時、新人巡査は迷いなく氷野に向かって銃を発泡した。
ﾊﾞﾝｯｯ__
ﾄﾞｽｯ...
再び銃声が響き渡ると同時に、新人巡査は意識が無くなり倒れ込む。
新人巡査が地面に横になり、氷野の目の前に見えたのは無色のの姿だ。
優れた身体能力を利用し、新人巡査に気づかれぬよう後ろに回り、こめかみを素手て殴ったのだ。
人体の急所として認められているこめかみは、強打されると意識不明状態になってしまう。
そこを丁度いいタイミングで強打された為、銃弾は地面へ、氷野は無傷で無色のに救われたのだ。
｢なんで____。｣
｢犯罪者はずっと同じことをしないから。
悪の知識を、人を守ることに使う時もある。｣
氷野が思わず漏らした声を無色のは遮り、静かに呟いた。
｢___。｣
くすりと笑い、割れた窓から入ってくる風と共に無色のは消えた。
｢...。｣
赤く染まった警部の胸ポケットから見える小型ナイフが明かりで光り、氷野は気づく。
警部は正義じゃなく悪、飲酒運転が付き添いの女性巡査にバレて、上手く消してしまうつもりだったという事、
しかしそれを知り、被害を出さないよう"犯罪者"という立場を利用して無色のは警部を赤く染め上げたという事。
ｷﾞﾘｯ
氷野はそれに気づいた途端歯を食いしばり、悔しそうな顔をし、
ただ恨むだけの存在であった無色のに、これ以上犯罪を犯してほしくないと思った。
"私は犯罪者だから"
そう言って人生を投げ出す彼女を止めたい。
｢もう殺らせねぇ___。｣
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作者名：アカツキ☆*�� | 作成日時：2017年10月6日 22時
