六十五話 まだ ページ24
鉢「下ろすぞ」
三郎が床に下ろしてくれる
おぶって家まで運んでくれたのだ
鉢「布団は…ここか
A、包帯などはどこにある？」
あ「えっと…隣の部屋の戸棚です…」
鉢「わかった、すぐに持ってくる」
三郎が焦った様子で部屋に向かう
…こんな血だらけなら誰でも焦るか
鉢「A、すまないが服を捲るからな」
包帯やいろいろ取り出して
手当てを始める
…そうだ
名前呼んでくれたの初めてだ
嬉しいな
私も三郎のこと
名前で呼びたいな
ずっと心の中だけだしな
ぼやーっと考えていた
…ああ
なんで怖くないんだろう
死ぬかもしれないのに
三郎はこんなに焦っているのに
死の恐怖は感じず
名前呼んでくれた
なんて考えて
そんな時
意識が朦朧としてきた
あ(なんか
眠くなってきた…)
私は目を閉じた
あ「…あれは」
私だ
座って下を向いている
あ？「…父上……母上」
顔を見ると
無表情で
眼は光を失って
絶望している顔だった
あ「…死人の様……」
あ？「……三郎」
その時
「A」
優しい
あの人の声が
聞こえた
もう一人の私が後ろを向く
そこには三郎がいた
あ？「……三、郎」
もう一人の私の顔は
愛しいものを見る
光が差した眼をしていた
走っていった
三郎の側についたもう一りの私は
笑っていた
あ「あれは、私か」
昔の自分だ
家族を失って間もない頃の、私
「A」
後ろから声が聞こえた
あ「…父上、母上……」
不安そうな顔をしている
私のことを心配しているのかな
…大丈夫だよ
あ「大丈夫…私今、元気だよ
……幸せだよ…！」
そう言うと
安心した様な顔をして
消えていった
私、まだ死ぬ訳にはいかないんだ
だって
あ「まだ、『好き』って言えてない」
あ「……う、ん？」
目が覚めると朝だった
布団の横には、三郎が寝ていた
…そうだ
あ「目が覚めたら『好き』って言うね」
ずっと、待たせていたからね
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妖福(プロフ) - なななさん» コメントありがとうございます！ドキドキ…そんな風に言ってもらえるなんてすごく嬉しいです！！更新頑張ります！！！ (2020年9月10日 19時) (
レス) id: 0d154ab0ae (このIDを非表示/違反報告)
ななな(プロフ) - 初めまして。三郎が大好きでこちらの作品を拝見させていただき、とても素敵な三郎に会えて嬉しいです。夜中に一気に読んでしまいました。三郎の一言一言に自分もドキドキしました。こらからも頑張って下さい(^^) (2020年9月10日 5時) (レス) id: c0f8350906 (このIDを非表示/違反報告)
妖福(プロフ) - ちびきゅうさん» コメントありがとうございます！好きが強くなってくれてる…とても嬉しいです！更新頑張りますね！！ (2020年9月9日 19時) (レス) id: 0d154ab0ae (このIDを非表示/違反報告)
ちびきゅう(プロフ) - とてもおもしろかったです！もともと三郎が大好きなのですがこの作品を読んでさらに大好きになりました！！更新頑張ってください(*´∇`*) (2020年9月9日 5時) (レス) id: d482c4bf0c (このIDを非表示/違反報告)
妖福(プロフ) - 音かなでさん» わわっ！コメントありがとうございます！！楽しんでくれて嬉しいです！更新頑張ります！！ (2020年8月10日 16時) (レス) id: 0d154ab0ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：教六 | 作成日時：2020年7月22日 18時
