【進撃の巨人】自由と信念_Ⅱ【ツイステッドワンダーランド】 (ページ7)

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｢俺が元いた世界……いや、俺が元いた島だな。
そこに暮らす人間たちは三重の壁の中で暮らしてた。｣

一度だけ王都ミットラスに行ったことがある。
酷いものだった。
この世の贅を尽くしたような街、傲慢が服を着て歩いたような貴族たち。
自分が泥水を啜り、殺した人間のポケットから奪った財布の中身を見ている間に金を湯水の如く使って、市民のことを笑う塵共が居るのだと。

｢九年前、超大型巨人が壁を壊したことで一番外側の領土は放棄せざるを得なくなる。｣
｢……さっきのでもあんなデカかったってのに、もっとデケェのがいるってことか？｣

誰かの発した質問に頷けばざわめきが広がった。
それもそうなる筈だ。あの大きさは圧倒的な力をそのまま表している。
初めて見た時の恐怖はもう味わいたくない。
足だけじゃなく、手も震えた。
ブレードをまともに握ることが出来なかった。

｢それから五年後……つまり四年前だな。
四年前にまたその超大型巨人が襲撃してきて壁に穴を開けた。
その穴から入ってきた巨人に、ある一人の人間が食われた。｣

エレン・イェーガー。

その男の名は後世まで語り継がれることになる。
＿＿文明が、民族が、語り継ぐ人々が消えなければの話だが。

｢其奴は……エレンは死んだ筈だった。
通常巨人に食われれば皆死ぬ。｣

でもエレンは生きていた。
ミカサを食らわんとする巨人を殴り、自分たちを巨人から守るようにして。

｢エレンは巨人になれた。｣
｢で、でも巨人は人間を食うんだろ!?｣

それもまた事実だ。
無垢の巨人は人間を食らうが、正確に言えば”口に入れて咀嚼だけする”。

｢巨人には消化器官がねェ。
食わなくても生きていけるんだよ(･･･････････････)。｣

人間に戻りたいが為なのかもしれない。
知性巨人たる人間を食えば、自分の寿命が縮む代わりに人間に戻れる。
崩れた瓦礫を背に話す彼とそんな彼の前に座る生徒たち。
彼の灰色の目は苦悶に歪んでいた。

｢そしてエレンは壁の穴を塞ぐことに成功。
無事エレンの身柄も今まで通り俺たちの所属する兵団で預かることになった。｣

＿＿全部黙って俺に投資しろ!!

傍聴席で聞いていたが流石に驚いた。
飛び出していこうとするミカサと取っ組み合いの喧嘩になったが、本当にギリギリのところで押さえることが出来た。
溜息を吐き出す。
此処からが本題だ。

｢その後の調査で、俺たちの仲間を殺した巨人が俺たちの仲間だってことがわかった。｣