【進撃の巨人】自由と信念_Ⅱ【ツイステッドワンダーランド】 (ページ5)

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｢……3からカウントをする。0になったら一瞬防衛魔法を解くからその瞬間に行け。｣
｢了解｣

ブレザーを脱ぎ、シャツ姿になった彼の腰には先程の装置が装着されていた。
人に似て非なる巨大な”何か”がゆっくりと辺りを歩き回っている。
怯えたように身を寄せ合う皆に、流石のジャックも何も言えなかった。

｢3｣

｢2｣

｢1｣

一瞬、クルーウェルの声が詰まる。

｢0｣

瞬間、風が吹き込んだ気がした。
彼の腰の装置から紐のようなものが飛び出し、それに従って彼が＿＿

｢……飛んでる？｣

壁を壊したであろう巨人は先程からずっと動いていない。
瓦礫を覗き込み、必死に手を伸ばしているが指先はクルーウェルの防衛魔法によって何にも触れられないでいる。
肩にアンカーを突き刺し、項を削げば慣れた温い温度が顔にかかった。
感慨に耽っている場合じゃない。さっき見ただけでもあと四体は居た筈だ。
頭上に影が差す。

｢ッ!!｣

右側の木に向けてワイヤーを射出し、ぐるりと木を回るようにして巨人の背後に回り込む。
立ち止まった其奴の視線の先には、クルーウェルがいた。
つまり、先程まで自分がいた教室を巨人はじっと見つめていた。

｢させるかよ!!｣

校舎の屋根へと移動し、項に刺したアンカーごと削ぎ落とせばゆっくりと地面に倒れ伏す。
少し離れた場所から悲鳴が聞こえた。
地面に向かって落ちていく箒を見て思わず目を見開く。
飛行術の授業。
地面を滑るようにして飛び、勢いを殺さぬままにアキレス腱を切り裂く。
言葉にならない呻き声を上げながら膝を着く巨人は何かを握っていた(････････)。
項を切っていたら間に合わない。
手首に向かって直接アンカーを刺して切り落とせば、手ごと握られたそれは落ちていく。
雷槍があれば。
歯噛みしながらもなんとか項を切った。

｢おいアウドイン、これは｣
｢手前ェらの大事な大事なガキを殺したくなきゃ詳しい話は後だ!!｣

バルガスの問いかけを怒鳴って突き返す。
あと一体。朧気ながら後ろ姿はしっかりと見えたのだ。

｢クルーウェル……先生に、爆薬を持ってくるように頼んで貰いたい｣
｢分かった｣

バルガスが頷いたのを見て、再び辺りを見回す。
備えあれば憂いなし。否、備えがあろうと憂いは消えない。
最悪の事態は備えきれていない時に訪れるものなのだから。

｢は？｣

そしてその時は訪れる。

｢なんでお前が此処に、｣

水晶に眠る筈の彼女が、虚ろな目をして立っていた。