【進撃の巨人】自由と信念_Ⅱ【ツイステッドワンダーランド】 (ページ4)

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一瞬だった。
耳が割れそうな轟音を立てて窓ガラスが割れ、グラウンドに瀕している壁が崩れ落ちる。
瓦礫の隙間から覗く大きな眼と目が合った。

｢どいてろ仔犬!!｣

殆ど突き飛ばされる形でクルーウェルに下がらされる。
詠唱なしで簡易的な防衛魔法を一面に張り巡らせ、生徒たちには廊下側に固まるように言えば隣の彼が立ち上がった。
思わずその腕を掴むが、凄まじい勢いで振り払われる。

｢おい仔犬、｣
｢……んで、｣

なんで、いるんだよ。

掠れて震えた声。
険しい顔をしていたクルーウェルも目を見開き、どういうことか問い詰めようとする。
しかしその前に彼が動いた。

｢今すぐ俺を教員寮に転送してくれ｣

普段よりもずっと色濃い光を宿した灰色の瞳がクルーウェルを映す。
ダメだ、と首を振るクルーウェル。
当然の判断だろう。
転送･転移系の魔法は人体への影響が大きい。
故に鏡を使って移動している訳だし、公共交通機関やその他の乗り物も発達している。

｢時間が無ェ!!アンタなら分かるだろ(･･････････)!!｣
｢……仔犬、真逆アレが｣

先程見つめてきた大きな目。
きっとそれの持ち主が、クルーウェルの言う”アレ”なのだろう。
そうだ、と苛立ったように頷く彼にクルーウェルは苦しげに首を横に振った。

｢お前は俺の教え子だ。
教師たるもの、教え子を守らなければいけない。｣
｢……じゃあ全員死なせるのか？｣

ゾッとするような言葉だった。
パニックに陥っていた教室が静まり返り、皆が彼とクルーウェルの方を見る。
教員でどうにかする、と主張するクルーウェルに彼は掴みかかった。

｢ふざけてんじゃねェぞ!!
確実に全員の命を守れる男が此処にいンだ!!
さっさと利用しろよ!!｣

彼の叫びは生徒のものでは無い。
自分で責任を取る術を知る、大人で一個人の意見で主張だった。

｢じゃあお前こそまたあの時のようになるのか(･････････････)!?｣

あの時。
それがいつを指すのか、ジャックは知らない(･････････)。
クルーウェルのその言葉にも彼は一切表情を変えない。主張も変えない。

｢クルーウェル先生、アウドインくんの言うことを聞きましょう｣
｢……クロウリー!!｣

音もなくやってきた学園長の放った言葉にクルーウェルは目を剥く。
その手に持った奇怪な形の装置を彼は手馴れた様子で身につけ、クルーウェルを見つめた。

｢通してくれ、先生(･･)。｣