【進撃の巨人】自由と信念_Ⅱ【ツイステッドワンダーランド】 (ページ27)

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初めて会ったのは、入学式の日。
グリムが暴れた後にまだ開いていない棺がある、と学園長が棺を開けた瞬間に倒れたのが彼だった。
血は毎月見ているけれど、傷から出る血があんなに赤いことは初めて知った。
それから暫く、彼のことは忘れていた。
毎日の勉強に追いつくのが必死だったのもあるし、何よりも新しく出来た友人と一緒にいるのがとても楽しかったから。
そんなある日、エースとデュースといつもの様に歩いていたら上級生に絡まれた。

｢てめっ……!!｣

殴りかかろうとするデュースを必死に止めたものの、上級生は生意気だと言って拳を振り上げてくる。
だめ、と声に出す前に誰かが自分たちの前に立ちはだかっていた。
それが、彼だった。
魔法を使えないはずなのに彼は上級生をいとも簡単に倒してみせた。
話してみたい。
それで、エースたちみたいなお友達になりたい。
そう思って彼に話しかけたものの、彼は素っ気なく自分を追い払う。
悲しかった。辛かった。
幾度も幾度も彼に話しかけ、笑いかけても彼が笑い返してくれることは無い。
本当に答えてくれることは無い。

｢あれ、お前が噂のオンボロ寮の寮生？｣

基本的にこの学園の人達は最初、自分を値踏みするような面白がるような目で見てくる。
でもその人は違った。
純粋に後輩としての自分に声を掛けてくれた。
嬉しかった。
話すうちに思わず自分が彼を好きなことを言ってしまった。
その人は、彼にボコボコにされたままの姿で自分の前に現れた。

｢許さない。俺は彼奴を殺す｣
｢そんな……!!｣

殺す必要は無い。大体それは貴方が悪いじゃないか。
必死に訴える自分に、彼は甘く囁いたのだ。
うっそりと柔らかな笑みを浮かべながら。

｢俺は一週間後、彼奴を廊下で刺し殺す。
その時にお前が駆け寄ってやれば、彼奴はお前を見るだろう。｣

悪魔の声だった。
そんなことしなくても、と躍起になりながら彼に話しかけたが彼は見向きもしない。
彼の目に映るのは、元の世界だけなのだと知った。
そして一週間後。
廊下で刺された彼を見て、足が動いていた。
追わなくていい。早く、早く保健室に。
しかし彼は自分の手を振り払い、あろうことか自分を怒鳴ってその人を追い掛けた。

｢アルノートくんは、自分のことが嫌い？｣
｢どうでもいい｣

心底興味がない、と言わんばかりの声。
分かっていたけれどやっぱり辛い。
ねえ、アルノートくん。

｢私は(･･)、アルノートくんのことが好きだよ。｣