【進撃の巨人】自由と信念_Ⅱ【ツイステッドワンダーランド】 (ページ11)

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｢……つまり、あの化け物がいつ現れるか分からないってことか？｣
｢そうなるなァ｣

各寮長に全教員を含めた緊急会議は重々しい空気の中開かれた。
ぐるりと円状に作られた机。ぽっかりと空いた真ん中の空間には彼が一人ぽつんと椅子に腰かけている。
学園長の説明に対し、沈黙が広がる中で口を開いたのはレオナだった。
肯定を示し、抵抗も言い訳もなく頷く彼。

｢あれの対処は俺しかできねェ。断言出来る。｣

そもそもこの世界にブレードに使われている材料が存在しないのだ。
学園長のよく分からない魔法だか仕掛によって彼のブレードは維持されているが、逆に言えば0からあのブレードを生み出すことは出来ない。
此処にいる人間たちが奴らに対抗出来る術を持つか？
＿＿否。持ち得ない。
彼が魔法を扱えないように、この世界の人々では奴等を殺せない。
レオナ・キングスカラーは考える。
一番簡単で遺恨を残さないのは目の前にいるこの男を殺すこと。

『此処に人を殺す覚悟がある奴なんて一人もいねェだろ』

あんな昏い目をする人間を、レオナは知らない。
そう、此処にはまともな人間しかいない(･･･････････････)。
故に人を殺せるわけが無い。
生かすことは出来ても、殺すことは出来ない。
それでも。
それでも自分が言わなければ会議は踊りもしないし進みもしない。
みっともなく震える唇は止まらなかった。

｢じゃあお前を殺すのが手っ取り早いんじゃねえか？｣

挑戦的に笑う顔は引き攣っていないだろうか。
何やら慌てる学園長を見もせずに彼は真っ直ぐとレオナを見据えた。
重たい沈黙が再び広がる。
その威圧感は、たかだか19の男が出せるようなものじゃなかった。

｢出来もしねェこと言ってんじゃねェぞ｣
｢はっ、どうだか｣

キングスカラーくん、と学園長の焦った声。
目の前には灰色の瞳と亜麻色の髪。
つ、と首元に押し当てられる冷たい感触に目を見開いていた。

｢手前ェが俺を殺すよりも先に俺が手前ェを殺しちまう。｣
｢……みてえだな｣

降参だよ、と両手を上げれば大袈裟な音を立ててブレードが仕舞われる。
一切気配も音も感じなかった。
気づけば間近にあった濃厚な”死”。
勘違いしないでくれよ、と彼はレオナ以外の全員を見回した。

｢俺は協力しようっつってんだ。
アンタらが俺を元の世界に戻す手伝いをしてくれるなら、俺はそれまで彼奴らを殺し続けるよ。｣

ふと、その声にひとりが立ち上がる。

｢アタシは賛成よ、それ。｣