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｢……高雅様らしくないですね。貴方はもっと賢く、視野の広い方だと思っていました。｣
｢僕も同意見です。｣
声は震えていなかっただろうか。
嘘。彼処まで必死に訴えていた、あの言葉が。
ぎり、と奥歯を噛み締める。
｢ですがきっと、”貴方の言う視野の広さ”と”僕の思う視野の広さ”は違う。｣
井の中の蛙はどちらでしょうか。
彼の顔から笑みが消えた。
ゾッとするくらいの無表情。それでも瞳は依然として強い光を放ち続けている。
｢あの人が『バレたら終わり』になんてなるような、不手際をすると思いますか？
きっとあの人……父さんは今回の件に貴女しか関わらせなかった。
共犯意識を持たせ、一生この家に縛り付ける為に。｣
図星だった。
あの日。
仕事を終え、部屋に戻って休もうと思ったら唐突に部屋の電話が鳴り響いた。
『急いで来てくれ。緊急の要件だ』
君にしか相談できない、と口早に付け加えられた言葉に少しだけ舞い上がっていた自分がいたのだ。
＿＿しかし呼ばれた先で見たのは、”地獄”だった。
気を失った子供と、ブツブツと何かを呟く女、そして腹を包丁で刺された男が狭い畳の部屋に押し込められていた。
言われるがまま男を処理し、妻らしき女とその子供を車に押し込む。
震える手で何とかハンドルを握り、アクセルを踏んで走り出した頃に隣の助手席に座っていた男は微笑んだのだった。
『やはり君ならやってくれると思っていた。』
＿＿自分は、悪魔に魂を売ったのだ。
｢……よく、あの少ない条件で分かりましたね。｣
｢ああ、いえ。｣
マシロが全て話してくれたんですよ。
わなわなとあの日のように手が震える。
あの無力な子供が？
＿＿あの子供のせいで、自分たちは追い詰められたというのか？
思わず立ち上がった。
大股で出口の方へと歩み寄り、ドアノブに手を掛ける。
がちゃり。
扉が開きかけたその瞬間、彼の静かな声が響いた。
｢……メイド長。僕はまだ話し終えていませんし、貴女からマシロの母親について何も聞いていない。｣
お戻りください、とメイド長に掛ける声は穏やかで静かなのに、従わざるを得ない空気を纏っていた。
腰を下ろしたメイド長に再び彼が微笑む。
｢……私がお話出来る内容は高雅様が仰ったもので全てです。もうこれ以上は｣
｢そう言うと思いました。｣
まるで、聞き分けのない子供を見るような目。
眉尻を下げて困ったように彼は笑いながら言ったのだ。
｢それでは、答え合わせといきましょう。｣
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名前はまだない - イナイレ小説の中で1番好きです... 主人公のキャラや設定、性格などが刺さりすぎてやばいです。更新楽しみに待ってます！ (2021年7月3日 10時) (
レス) id: 567784a46c (このIDを非表示/違反報告)
あかや(プロフ) - コメント失礼します！！面白すぎて一気読みしてしまいました…主人公君のキャラ？性格？とても好きです！なんて言うか、飄々とした感じの… 続き待ってます！！ (2021年4月2日 16時) (レス) id: eed553f04a (このIDを非表示/違反報告)
夜 - 度々コメント失礼します！大好きな作品なので何度も読み返しては楽しんでいます！もし可能であれば、主人公が松風天馬君と同年代で帝国に入学という設定でイナイレgoシリーズの話を読んでみたいです！これからも作者様のペースで頑張ってください！ (2020年11月18日 14時) (レス) id: c9a43346ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：湯葉 | 作成日時：2020年10月7日 7時
