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苦々しげに呟く老爺。
常に彼に付き従う老人の男が、彼女から豪炎寺とマシロを庇うように立ちはだかっていた。
ナイフを握ったまま、呆然と立ち尽くす彼女。
重たい沈黙の中で口を開いたのはやはり彼だった。
『きっと母さんは俺が父さん関連で危うい目に遭っていればどんな手を使ってでも止める。
その確証の下、今回の作戦は動き出した。』
こく、と頷けば横でマシロが驚いたように目を見開く。
『母さんが入院していないと気づいた時、理由を考えれば明白だった。
最初は爺やも母さんの作戦に賛同してると思ったけど違ったんだね。』
もしただ彼女に賛同していたのなら、今になって高雅の側仕えに戻ってこられていることについて説明がつかない。
きっと柳は彼女を止めようとしていた。
『”柳はあの子が心配じゃないの!?”とでも言われたんだろうね。
＿＿爺やは”本当の”僕の味方だ。それを言われてしまえば母さんに従うしか無かった。』
茫洋とした眼差しの彼女が床に座り込む。
その傍で柳は俯きながらも、彼の言葉に確かに頷いた。
｢高雅様の……仰る通りです。｣
僅かな沈黙。
しかし、すぐに柳が覚悟を決めたように顔を上げて話し始める。
彼の母＿＿皇涼子は柳孝一の従姉妹にあたる女性だった。
最初は皇本家の当主と結婚出来るとなって喜んでいたが、徐々に涼子の顔が暗くなっていくことに柳は気づく。
それでも、息子である高雅を産んで。
彼女はまた幸せそうに笑うことが増えた。
それにどれ程安心したことか。
だがそんな幸せも束の間。
安堵した柳を嘲笑うように、涼子の状態は悪化していく。
初めは些細なことだった。
高雅に付き添う時間が増えて、高雅の世話を他人にやらせたがらなくなったり。
それでも柳のことは信頼しており、柳が高雅の世話をするのは嫌がらなかったという。
｢今でも覚えています。
＿＿助けて、孝一さん。この子が殺される。
涼子の目は……涼子は限界でした。｣
ほぼパニックで過呼吸を起こし、今にも倒れそうだった彼女はそれでも彼の手を離さなかった。
なんとか宥めて事情を聞くも、話は支離滅裂で意味を成さず、結局気絶するかのようにその時は眠ってしまった。
｢おかしくなったのはそれからです。
”皆高雅を殺そうとしてる”と口走ったり、やたら周りの目を気にするようになりました。｣
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湯葉(プロフ) - 夜さん» ありがとうございます!!とても嬉しいです!! (2020年10月5日 6時) (
レス) id: cb66408181 (このIDを非表示/違反報告)
夜 - 原作ではないお話も入っているのでいつもハラハラドキドキしながら読んでます！この先でもし、世界戦に主人公が選手として出場するなら味方として出ても、決勝戦で敵として立ちはだかってもどちらの展開でも面白そうですね！これからも応援してます！ (2020年10月4日 18時) (レス) id: c9a43346ff (このIDを非表示/違反報告)
湯葉(プロフ) - 常備薬さん» ありがとうございます!!これからも頑張ります！ (2020年9月27日 21時) (レス) id: cb66408181 (このIDを非表示/違反報告)
常備薬(プロフ) - ドキドキしながら読んでます！やっぱり面白いです！ (2020年9月25日 22時) (レス) id: 074c2be95c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：湯葉 | 作成日時：2020年9月21日 12時
