【スタマイ】捜査一課の女神様 (ページ8)

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不意に聡介が車の鍵を出すとAに投げ渡す。

「なにこれ」

「車の鍵。名刺を忘れて来たから持ってきて。助手席の方に置いてあるはずだから」

お願いと両手を合わせて上目遣いをする聡介に嫌そうな顔を隠さずにAは車を探しに駐車場へ行った。

聡介はAが見えなくなるまでにこやかに手を振った。

見えなくなると手をおろして近くを通り過ぎようとしたボーイを呼び止めた。

「飯島さん。貴方と彼女のスタンドの件、考えてくれましたか？」

口を開いた桧山が率直に聞いた。

「俺はない。メリットが少なすぎるし君達にそれほど義理もないからね。Aは本人次第だよ。一応話はしてあるけど微妙な顔してたなぁ。あ、でもAが加入するなら手伝うかな。嫌がるだろうけど」

「嫌がるんですか……？」

「嫌がるよー。借りとか別に気にしなくていいのにねぇ。まぁ、それは個人の匙加減だから仕方ないけどね。でもたまには助けを求めてほしいなぁ、とはお兄ちゃん的には思うわけなんですよ」

そうだそうだ、と泉の肩に手を置く。

「あの不機嫌な顔を見ての通り、あの子のコンディション最悪だから頑張ってね。お化粧で上手に隠してるけど寝不足は確実だね」

「余計な事言わなくていいから」

と車の鍵と名刺ケースをもったAが泉の肩に置かれた聡介の手を取る。

「まぁ、最悪でもちゃんとやってくれるのは知ってるからね。俺から言っておこうか？」

「……頼るかもしれない」

そんな台詞に聡介は目を見開いた。

そして満面の笑みを浮かべる。

「かもしれないは要らないよ。もっともっと頼って良いからね？そうと決まれば今日はうちに泊まりなさい。妻も子供達も喜ぶから。車は俺が運転するし」

返事も聞かないで連絡をとり予定を立てていく。

その間Aは止めようとするが聞く耳をもたないことに諦めて呆然としていた。

「……代わるか？」

「ありがたいけど仕事はちゃんとやるよ。そっちはそっちで頑張って」

と笑みを浮かべた。