暁永骨董品店 ページ10
「おー、すごーい」
「お前の家、骨董品店だったのか…」
「うん。僕の叔父さんが店主をしてるんだ」
目の前には『暁永骨董品店』と言う看板のある店
商店街の入り組んだ路地の奥にその店はあった
木造建築のレトロな雰囲気の店
中に入ればおそらく通路であろう所以外はほぼほぼ、品物で埋まっていた
「あ、これかわいー」
私が手にしたのはアンティークの懐中時計
蓋には薔薇の花が彫られていて、時計の数字はローマ数字だった
チェーンもついてるからネックレスに出来そう
「春ちゃん、これおいくらー?」
「え、買うの?」
「買えそうな値段だったら、今度買いに来ようかなーって」
「…楽蓮って何者?」
「ただの女子高生」
「時計と言えども、骨董品を買える女子高生なんて、そうそう居ないんじゃない…?」
まあ、普通ならそう思うよねー
でも私は違うんだなー
「あー、その、こいつの両親、海外で働いててな、結構収入がいい職業でさ。生活費とかが送られてくるみたいなんだが、なんて言うか、その、多いんだよな」
「そーそー。まぁ、あの人たちがどれだけ送ってこようと、どーでもいいよ。あの人たちのこととか興味ないし」
「そんなこと言っちゃダメなんじゃない?それだけ大切にされてるってことでしょ?」
「…、そういう捉え方も、あるのかなー」
「?どういうこと?」
「何でもなーい。で、おいくら?」
「ああ、そうだったね。ちょっと待ってね」
そう言うと春ちゃんは店の奥に入っていった
「弥生、お前ほんとに買うつもりなのか?」
「そーだよー。だって可愛いじゃん、この時計」
「確かに可愛いとは思うけど、骨董品だし高いんじゃない?」
「むー。咲羽もそーいう事言うー」
「ホントのことだろ」
時計について話してると奥から春ちゃんが戻ってきた
後ろに大人の男の人も連れて
「叔父さん、このアンティークの懐中時計なんだけど…」
「これか。これは年季物で状態もいいから結構高いぜ?」
「だいたいどれくらいですか?」
「懐中時計だけなら七万、チェーン付きなら八万ってところだな」
「うわ、たっか…。弥生、やめとけよ、流石にこれは無理だろ」
「んー…。じゃあ、今度買いに来ます」
「ハァ!?おまっ、弥生本気か!?」
「本気とかいてマジと読む。きらーん」
「きらーんって…。それ、口で言っちゃうの」
皆驚いてるねー
そりゃあ、そうだよねー
ただの女子高生が八万円も出すって普通じゃないよね
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