【歌い手】寒い季節に温もりを。【大型コラボ】

12/31　来年も@はつね ページ31

すっかり冷えきった両手を擦りながら
大好きなあの人が待っている家へと急ぐ。


料理が大好きなあの人のことだから
きっと私が帰った頃には、おかえりなんて言ってエプロンを付けて料理をしているだろう。


だけどそれでも、私が帰ったら
おかえり、と同時に抱き締めてくれるのだろう。


寒かったでしょ、なんて言って。


愛しくて堪らない人に早く会いたくて
世界中の誰よりも愛しい人と一緒にいたくて


その瞬間を、あの人となら分け合いたいと思えるから


段々と歩く速度は上がって、終いには走って温かな家へと帰った。









「あ、おかえり」


玄関を開け、続いてリビングの扉を開けると
予想通り大好きな彼――ナノはエプロンをしながら料理をしていて。


一旦火を止めると、寒かったでしょ、と私のことを抱き締めた。


嗚呼――…温かいな。


もう大丈夫、と言うと
ナノは名残惜しそうに離れた。


もう出来るから待ってて、と言われ
こたつの中に足を突っ込んだ。


ぽかぽかする。やっぱりこたつは最高だ。


「出来たよ」
「わ、美味しそう」
「美味しそうじゃなくて美味しいの！」
「ふふ、分かってるよ」


湯気が立っているそれは
毎年変わらない、何から何までナノの手作りの蕎麦。


こうやってナノと一緒に年越し蕎麦を食べて
今年はこうだったね、来年はこんなことしたいね、なんて笑い合って


いつの間にか年も越しちゃって
そうやってまた笑い合って。


これから先も、そんな風に年が越せればいいな。


一番愛しい、貴方の隣で。

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